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一人は皆と、皆は一人と、共に影響しあって、世界は動いていきます。
もう無関心ではいられない、世界の動きを検証します。
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■台湾の命運(1) (2) (3)【2003年6月15日】
次期総統選挙 / 幼い民主主義 / 国民党の反撃
世界も日本も、SARS問題にすっかり気を取られていますが、
「台湾」の将来を決していく問題が2004年3月に近づいています。
軍事・政治・経済など、東アジアが今後どうなっていくのかは、
中国を見ることですが、
その中国を語る際に、「台湾」は外せません。
また、この台湾をどう扱うかは、
戦後日本の忘れ物のひとつでもあるという複雑さです。
■次期総統選挙
3年前の2000年3月、台湾の人々は民主的な総統選挙を行い、それまでの国民党支配から民進党(台湾独立派)=陳水扁総統へと政権を交代させました。
テレビ画面からも、初めての民主選挙にエネルギーを爆発させる台湾の人々の喜びが伝わってきました。
本省人=生まれも育ちも台湾、という陳水扁総統を民主的な手続きで選出して、前総統・李登輝さんからとどこおりなく政権を交代させたことは、台湾の人々の政治的な成熟度を世界にアピールしたわけです。
台湾独立派は勢いをつけ、出身が中国本土の外省人か、台湾出身の本省人かを問わず、みな「新台湾人」であるとする気風も若者を中心にかなり浸透したといわれます。
一方中国は、あくまでも台湾は中国の一部であるとの原則に立ち、台湾海峡に砲弾を打ち込んで台湾の民主的な選挙を威嚇し、アメリカは空母を派遣するといった事態になりました。
が、世界は、台湾が民主的な手続きで自分たちの力で政治体制を選び運用する力があると理解したのも事実です。
この台湾の総統選挙が来年3月、めぐってきます。
この2004年3月の次期総統選挙は、実はかなり重要なもので、台湾の方向を大きく決めていくものと思われ、注目したいものなのです。
■幼い民主主義
陳水扁総統=民進党(台湾独立派)政権は、最初台湾の人々に非常に支持され、77%の支持率でしたが、2002年5月には51%、2003年5月には33%、6月には27%と過去最低となり、逆に現野党=国民党(中国統一派が中心)が48%の支持率をえています。(6/15付け産経)
陳水扁総統=民進党政権の人気は、台湾経済の低迷とともに下がり、今回のSARS対応のまずさで急落しているといわれます。
ここに民主主義のむずかしさがあります。
民主主義を一度経験したら、必ずその後もずうーっと民主主義で行くかというと、世界を見ればそうではない国が多いことが分かるからです。
一度民主主義でやってみたものの、軍政クーデターを繰り返したり、独裁に戻ったりする国も結構多いのです。
というのも、
民主的な選挙をすると、最初は、議論が紛糾して進まず、妨害や贈収賄、人気取り、不正などがはびこってしまい、人々が嫌気をさすと指摘されています。
議会制民主主義の発祥、イギリスでも、1600年代、1700年代、1800年代と、かなり票の買収などに手を焼いていました。
でも、なぜ人々は、この手間と時間のかかる民主主義を良しとして手放さないのでしょうか?
「政治体制としては、民主主義は誉められた体制ではないけれど、他の体制よりよっぽどましだからだ」
こんなシニカルな言い方をされる面が、民主主義にはあります。
■国民党の反撃
なぜ、陳水扁総統=民進党政権の支持率が下がったか、ですが、
ITバブル崩壊などにより、台湾経済が低迷していることに加えて、その議会運営の困難さが挙げられます。
陳総統は民進党=台湾独立派です。台湾の人々の支持を得て政権につきました。ところが、乗り込んだ議会では、与党の民進党は少数派にすぎず、多数派は国民党=中国統一派の議員なのです。
なので、国民党=中国統一派の議員たちは、陳総統の出してくる政策や議案にことごとく反対してきて、この3年間に具体的な政治成果を上げられないでいるといいます。議案を通せないわけです。
その結果の経済低迷などを、さらに野党=国民党からつっつかれるということのようなのです。
さらに、今回のSARS騒動でのごたつき。かなり院内感染を出しました。
民進党=台湾独立派に投票した人々の失望感が、国民党支持を増やしているようです。「ほら、やっぱり、台湾の未来は、成長著しい中国と連動してこそ開ける」と訴えているでしょう。
この国民党ですが、
もちろん、支持層は外省人=中国本土から渡ってきた人と子孫です。数は少ないのですが、1945年に日本が台湾統治を手放して以来、この国民党は台湾を実効支配し、各分野の支配層として台湾固有の人々の上位に立っています。
また、中国共産党を嫌い、国民党に従って台湾に入った人々は、かなりの資産を持ち込んでおり、この利権はかなりのものだと想定できます。
台湾には、北京と同じ名称の「故宮博物院」がありますが、これも、中国清朝末期のごたごたの中で、北京の故宮から運び出された歴代皇帝の宝物が各地を転々とした後で、極秘に台湾に運ばれたという60万点を超える宝物群です。
しかも、膨大な宝物の中から逸品だけを抜き出したといわれ、「北京の故宮にはガラクタが残っているだけ」「故宮の宝物を見たければ北京ではなく台北に行け」とまで、揶揄されることがあります。
この一例でも推測できるように、台湾経済のかなりの利権を握る国民党支持層=外省人の反撃は、侮れないものがあります。次回、国民党に政権が戻ったら、国民党は2度と政権を手放さないといわれます。
つまり、来年3月の次期総統選挙は、台湾の人々にとって、国民党を選ぶか、民進党を選ぶか、といった政党選びの選挙ではなく、統一か独立かの二者択一の選挙になるということなのです。
しかも、その選挙の重要さを、当の台湾の一般の人々はまだほとんど自覚していない、と専門家が指摘しています。
一方の日本にとっては、台湾が中国本土へ取り込まれるかどうかは、大きな問題になります。
来週は、台湾が自由主義陣営に留まる条件についてです、おたのしみに
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