智慧をキーワードに出来事を読む                 筆者へメール筆者紹介情報源/著作権/リンク発刊趣旨
情報化社会のe智慧マガジン                 
トップへ                                           
【読者の意見】へ
人前で話す人の教養のタネ ひとくち漢文
ブックス

一人は皆と、皆は一人と、共に影響しあって、世界は動いていきます。

もう無関心ではいられない、世界の動きを検証します。


--------------------------------------------------
■台湾の命運(2) (1) (3)【2003年6月22日】
第二の香港? / 台湾のアイデンティティ / 中華の呪縛

先週は、2004年3月の台湾の総統選挙が、

独立か=自由主義陣営に留まり民主主義を育てていくか、

統一か=中国本土の共産主義に取り込まれ、一枚岩の中華世界として生きるか、

を問う重要な選挙になるということで、政治・外交の専門家が注目
しているというハナシでした。
台湾に民主主義が根付くかどうかは、日本にとっても見過ごせませんね。

台湾が自由主義陣営に留まる条件を見てみました。


■第二の香港?

台湾に近い境遇にあった地域に、香港があります。

1997年にイギリスから共産主義国家の中国に返還されたわけですが、

香港の将来については、当時、意見は真っ二つに分かれました。

1つは、
・香港は共産主義国家に打ち込まれた自由で民主的なクサビであり、中国は内側から香港化する。

もう1つは、
・共産主義一党独裁国家に吸収されてしまったら、香港の自由は損なわれて、中国の単なる1地方都市になってしまう。

2003年現在の香港をしろうと目で見ても、外交専門家の論考を読んでも、残念ながら香港はすでに輝きを失いつつあるようにみえます。

「1国2制度」を返還後50年は守ると、返還当時の交渉で、最高指導者のケ小平はイギリスのサッチャー首相にも言いましたが、それだけのことです。

香港返還当日の午前0時、華やかな返還セレモニーと同時刻に何と、人民解放軍が治安維持の名目で大挙して香港の街に送り込まれたのをみて、香港の人々は中国政府の意図を明確に感じ取り、慎重にクチを閉じたといいます。

その後、サッチャーさんは「ケ小平にだまされた」と言ったとか、外交評論家の論考にオフレコの聞き書きのように紹介されてもいましたが、

香港のその後を見ると、本当にそう言ったのかもしれないと思えてきますね。

自由主義陣営の価値観では、

人間ひとり、ひとりの自由な意思と創造性、努力を認めて、努力の結果の富の蓄積を認めます。

が、共産主義の一党独裁では、

言論の自由はなく、基本的に「富」は=貧しい者を収奪して得たものという理解です。また、共産主義下の経済は、国から人々に経済活動を指示するもので、人々が自由裁量で工夫する余地が限られています。

この2つの考え方は対立していますから、

どうしても合わないですし、現実には、香港の自由は有形無形に規制されてしまい、中国共産主義に飲み込まれてしまったというわけです。

台湾の独立派の人々は、

第二の香港のようには絶対になりたくないと心に誓っていることだろうと思います。



■台湾のアイデンティティ

いま、台湾の人々から、自分たちの国名を、「中華民国」から「台湾」に変えようという、「正名運動」のうねりが起きています。

ことの発端は、

パスポートの国名に中華民国=Republic of China、つまり、中国=Chinaの一文字が入っているために、国際社会で台湾=中国の一部地域とみなされてしまい、結果的に誤解を与えている現状を変えたいというものです。

この「台湾」の名称ですが、

ほんとに宙ぶらりんな台湾の現状を現しています。

ですが、自分たちの生きる地域を、正式な国名として「台湾」と名乗りたいという「正名運動」が起きてくるということは、

いよいよ、台湾の人々が、自分たちの独自性を自覚してアイデンティティを確立していく時期=長い独立への1過程に入っているのだな、と思わされます。

中国は、台湾が独立の動きをしたら軍事力を使うと明言しており、今は動けない台湾ですが、

最終的には、

台湾の人々が、国際社会が理解する民主的で違反のない正当な手続きで、自分たちの政治形態を選び、自分たちの総統を選んでいくなら、国際社会の誰も手出しはできないということがあります。たとえ中国といえども。

つまり、台湾の独立は、中国が命綱を握っているのではないということです。

結局のところ、台湾の人々の国としての姿、台湾人としての自覚、台湾独自の文化基盤こうしたものの確立がなされたときに、何らかのかたちで政治日程に登っていくのではないでしょうか。

民族自決権を公明正大に国際社会に訴え、行動する、その準備として、台湾アイデンティティの確立が急がれているのです。

特に、2回目が重要になる民主選挙という次期総統選挙は来年3月に迫っていますから、そういった意味でも、独立派にはあまり時間はないのだと思います。



■中華の呪縛

というのも、

中国本土との統一を望む外省人とその子孫、山岳地帯の台湾ネイティブの各民族、台湾生まれ台湾育ちの本省人、その新世代との融和には、まだまだ時間がかかると思われます。

また、中国清朝末期に持ち込まれた莫大な富が台湾の政治・経済などの基盤の利権と結びついています。中国の経済開放がなされて以来、台湾は中国本土への投資に浮き足だつほどの勢いでした。

中国に入っている外国資本の70%がなんとアメリカと台湾からの投資ですから、凄まじい金額でしょう。この辺り、もう少し他の国際社会とのバランス感覚が求められているようです。

この台湾人の中国投資熱に警鐘を鳴らす李登輝さんのコメントがありますが、

中国に投資した台湾人企業で、本当に儲けているのはごく一握りの企業で、あとはほぼ中国ビジネスで失敗している。メンツがあるので台湾に帰国できずに、中国国内で台湾人地区を作って寄り集まっている。というのです。

中国は台湾の統治など、実は問題にしていない、台湾の人々を中国人=華人だとも思っていない。ただ、清朝末期に台湾に流れた莫大な富は、あれは中国のものだから取り返したい、その富をベースにした台湾の繁栄は中国のものだ、それが本音なのだ、などとも言われる一端が見えてくるようです。

それに、例の、故宮博物院の宝物です。

北京の故宮博物院に対抗して同じような故宮博物院を台北に建て、極秘に持ち出されて中国各地を転々として行方不明になっていた宝物を収蔵しています。60万点と一口で言いますが、

1日、2日ではとうてい全てを見られないほどの膨大さと、質の高さです。もちろん、人民解放軍に負けて台湾に逃げた国民党=外省人の有力者が、本土奪還と復帰を狙い富と政治力を発揮して建てたのでしょうが、

これは、逆にいうと、台湾の人々の歴史にはまったく関与しない中国各王朝時代の宝物です。これを後生大事に握り締めていて、台湾は中国ではない、といっても、どうでしょうか。説得力はあるのでしょうか。

案外、外省人の子孫が4〜5代目ぐらいになって台湾化していき、もっと台湾独自の文化が発展していくようになるときに、中国に返却したり、独立していくのかもしれませんね。

この辺りに、台湾自身が、中華世界は政治・経済・文化的にも一枚岩だという呪縛にはまっているのを感じるのは私だけでしょうか。

いろいろな面で、「台湾化=タイワナイゼーション」が台湾の急務なのだと思われます。

来週は、台湾が独立か統一かに動いた場合どうなるか、を見てみます。お楽しみに
<Rei>

ページトップへ


e智慧マガジントップへメールマガジン登録解除へ情報提供はこちらへ問合せオフィスレイトップへ

「情報化社会のe智慧マガジン」は、オフィスレイが運営しています。
文章・画像データの無断転載・使用はお断りいたします。リンク用バナーはこちらから。
質問、間違いの指摘、情報提供、掲載依頼、リンク問合せ、励ましのお手紙は、
yamaki@officerei.com までお願いいたします。


Copyright (C) 2002 Office Rei All Rights Reserved.