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21世紀以降の社会の仕組みを支える最先端技術がずらり。
技術を使いこなす智慧の目が問われる現状を考察します。
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■ミネラル革命(5) ⇒(1) (2) (3) (4) (6) (7)【2003年3月9日】
消えたミネラル / 根深い原因 / ミネラルは誰も作れない
■消えたミネラル
先週は、ミネラルが重視されつつある健康食品ブーム、栄養学のトレンドの話でした。
さて、
この、人体の健康と活動にかかせないミネラルですが、いま、『野菜にミネラルがない!』というのです。
えっ、そんな馬鹿な、大げさな。土もあるし、どうして消えるのよ? というのが、最初に浮かんだことでした。
ここに、1992年の地球サミットで発表された衝撃的な数字があります。世界的に、この100年間に農地からミネラルが劇的に枯渇しているというのです。
●南アメリカ 85%減少
●北アメリカ 76%減少
●アジア 76%減少
●アフリカ 74%減少
●ヨーロッパ 72%減少
●オーストラリア 55%減少
うすうすは予想していました。化学肥料を使っているし、ハウス栽培もしているし、連作障害も出るでしょうし。でも、どんな状況になっているかはあまり知られていません。
どのぐらい減っているのか、日本食品標準成分表で調べてみました。
日本では、食品の栄養成分を調べて定期的に発表していますが、1950年の初訂、1982年の4訂、に次いで2000年に科学技術庁(現文部科学省)資源調査会から「5訂・日本食品標準成分表」が発表されています。
鉄分(100g中) 1950年→1982年→2000年
・ほうれん草(葉・ゆで)→約13mg
→約2mg →約0.9mg
・にんじん(根・ゆで) →約2mg
→約0.6mg →約0.2mg
・だいこん(根・ゆで) →約1mg
→約0.3mg →約0.2mg
他のミネラルもおそらく同様でしょう。ほうれん草は言われているとおり劇的ですね。
特に、日本の場合は、火山国ですから酸性の火山灰土壌が多く、もともと農地にミネラルが少ないのだそうです。
にんじんでも、ブロッコリーでも、輸入野菜のほうが、日本のものよりミネラルが多いのだそうです。というのも、その農地にどれぐらいミネラルが含まれているか、だからです。
アメリカが日本型の食事を推奨したわけですが、これは現在の日本人の食事を指すのではなく、食品成分表から見ても、せいぜい昭和35年ごろまでの食事をイメージしていることが、これからもわかります。
現在の日本人は、かなりのパーセントでミネラル不足になっているのではないでしょうか。
■根深い原因
なぜ、農地からミネラルが枯渇するのかですが、
私たちの文明のあり方が問われている問題なので、一朝一夕では解決できない根深い問題だということに気づかされます。
というのも、主な原因のひとつとして挙げられているのが、
●下水道の発達
確かに、化学肥料に替わるまでは、人糞は農地に戻されていました。
今は、水洗トイレで流してしまい、ミネラルは農地には帰りません。
●化学肥料の使用
植物の肥料を、化学的に合成した窒素・リン・カリウムの3要素に絞ってしまい、微量ミネラルは含 めていません。
●連作
大量消費に応えるために、毎年安定した収量を産出することが求められます。
休耕地を設けて農地を休ませる余裕をなくしています。
などにより、農地にミネラルが還元されなくなっているからだといわれます。つまり、雨や雪、川などの水を利用して陸地を耕す農法についてまわる根本問題だということです。
理由は大いにうなずけるとしても、今からいきなり、農家に肥料を人糞に戻してください、といえるか? 水洗トイレを止められるか? という問題があります。
また、手間のかかる有機農法での収穫量を、市場供給量まで急激に増やせるのか? という問題もあります。たい肥づくりの手間と量の問題もあります。
休耕地を作って順繰りに畑や耕地を休ませる余裕が、いまの農家経営にあるか? という問題もあります。
そう考えると、この、農地から枯渇するミネラルの問題は、かなり抜本的な解決法を見つけないかぎり、進行し続ける問題なのです。
そういった意味でも、土壌改良問題も21世紀世界での大きなテーマになっていくものと思われます。私たちの文明自体を、環境を消費するだけの文明から循環型文明に構築し直す必要にせまられているわけです。
■ミネラルは誰も作れない
ミネラルの循環が難しいのは、もうひとつ、ミネラル独自の性質があるからです。
このミネラルですが、ビタミンや他の栄養素と違い、動物も、植物も、人間も、誰も体内で合成できません。
地球に元からある元素だからです。元素ですから、これ以上には分解しない最小のカタチで、1個1個単独で存在しています。
ビタミンや他の栄養素は、こうした元素がそれぞれ特定の組み合わせで並んで特定の性質を持っています。ですから、1個抜けて壊れてしまったり、ばらばらに元の元素に分解することができます。
しかし、ミネラルはすでに、1個でミネラルであり、完全な栄養素なわけです。
そのため、土中のミネラルが植物の根から吸収され、それを人間が食べても、または動物を経由して人間が食べても、ミネラルの組成はまったく変化しません。土中のミネラルは植物や動物から人間へ、また農地や海へと移動するだけなのです。
ですから、人糞や有機物のたい肥として農地に還元しないかぎり、その農地のミネラルは減っていくのだそうです。
「亜鉛を100PPM含む野菜が採れれば、耕地は1PPMの亜鉛を失う。平均的な耕地には50PPMほどの亜鉛しかないので、理論的には毎年連作したら、50年ほどでその耕地の亜鉛は枯渇する」
これは、丸元淑生/丸元康生著「最新ミネラル読本」に紹介してある、ミネラルの専門家、故カール・フェイファーさん(元ブレイン・バイオセンター所長)の言葉です。
また、
古くから文明の起こったメソポタミア、エジプトなどの農地では、ミネラルが枯渇していて、特に人間の亜鉛欠乏症が確認されたとも紹介しています。
では、ミネラルが不足するとどうなるのか、ですが、これが、また、今後期待される予防医学の大きなテーマで、最新情報が続々と出てくる分野なんです。続きは来週に、お楽しみに。
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