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人前で話す人の教養のタネ ひとくち漢文
ブックス

いつもと違った視点を発見! 

透明なこころでモノゴトを眺めると何が見えてくるか、お楽しみに。

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■黄砂から見えるもの(2)  
 【2004年4月25日】
 進む乾燥 / 新しい難問は新しい方法で解決する


先週号の話は、
中国の植林意識はまだまだ低いままなので、「黄砂」が徐々に拡大していく兆しを見せている。ところまででした。今回はその続きです。


■進む乾燥

「黄砂」の発生元のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠など、ユーラシア大陸の中央部は、今後ますます乾燥するというシミュレーションが出ています。

地球温暖化予測の専門家の調査では、

現に、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠などを含む中国部、インド大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸の乾燥化が急速に進行していて、毎年、地下水位が1メートル下がっているのだとか。

黄河上流の奥地では、毎年神奈川県程度の広さで砂漠化しているといいます。

ユーラシア大陸中央部のアラル海、アフリカ大陸中央部のチャド湖は、衛星写真でも、以前の1/10に縮んでいると報告されているようです。

また、こちらは人災ですが(=ナショナル・ジオグラフィックの衛星放送番組によると)

アメリカ、ロサンゼルス市に飲料水を供給するために川の流れを変えたのが原因で干上がったオーウェンズ湖一帯(ロスから300kmほど)は、現在、湖が干上がり塩が吹き出て砂塵を巻き上げる不毛の地となり、環境対策を取る羽目になっています。

この地は、1930年代までは、林檎や梨など、カリフォルニアで生産される果物の30%をオーウェンズ・リバー・ヴァレーで産出していたという、豊かな土地だったとか。

・塩分に強い植物を植える
・カーペットを敷く
・古タイヤを敷く
・水を撒いて砂塵発生を抑える
●湖に戻す

上記の対策のうち、湖に戻す以外の対策を取っていますが、強風に煽られた非常に細かな砂塵(パウダー状に見えました)+塩分が周辺地域を汚染しています。

最近の研究でも、砂塵が雨雲の形成を阻み砂漠化をさらに進める、と実証されているように、1度乾燥化のサイクルが進み始めると、止めるのはなかなか難しいですね。

日本の場合は、現在の平均気温は、

130年前に比べて、0.6度上昇。今後50年で2−3度、100年では4−5度に達するだろうと考えられています。

それも、夏の気温変化ではなく、冬の気温が上昇しているとのことで、

北海道が関東の気候に、関東辺りは台湾の気候になるだろうと予測されています。つまり、日本から雪が減少する方向に行くというのです。つまり、単純に考えて、使用できる水の総量が日本全体で減るわけです。

これは、日本の場合、ダム問題に行き着いていくのではないかと思われます。

雪が減るとしたら、河川水を貯めておいて使うことになり、ダム必要論とダム不要論の論争が起こるのではないでしょうか。環境破壊を理由に、ダム不要論が現在でも出ていますから(=長野県など)、論議を呼ぶかもしれませんね。環境問題をどう解決するかで。

ただし、日本は今後人口が減り、8000万人規模の国になると予想されているので、きっと、今のダム数で足りるのか、それでも雪がなくて水が足りなくなるのか、など。論議が沸騰しそうですね。

ここからしても、21世紀は世界的に水問題が表面化するといわれる一端が垣間見られるようです。中国でも、この奥地の砂漠化と、元々の水量が少ない黄河で進む水質汚染という難問が表面化しそうですね。

特に黄河は、日本の河川からは想像しにくいのですが、水量が思ったほどないのだそうです。そして、年々増える人口と追いつかない下水処理問題とで水質が悪くなり、上流に当るある地域では、黄河の水は「しょうゆ色」をしているとも指摘されているようです。

目を転じて、

アフリカに飢える住民が多数出ているのも、未熟な政治、戦争、貧困という原因以外にも、土地が乾燥して植物が生えなくなり、伝統的な自給自足をしようにもできなくなり、難民化しているのも原因でしょうね。

そのアフリカの映像を見ましたが、かつて植物が生えていたと思われる村の場所には、わずかに2、3センチの雑草がへばりついているだけで、それ以外は、赤茶けた大地です。10年ほど前までは、牛の放牧でほぼ自給自足してきた伝統的な生活は、あっけなく破壊されています。

温暖化と大陸の乾燥、このサイクルの中で地球は今後の2000年〜3000年を過ごすのだそうです。

それに対して、人類の智恵を集めていくことになりそうですよ。


■新しい難問は新しい方法で解決する

地球環境問題が難しいのは、衣食足って、ある程度余裕のある社会になっていないと、手を出すことすらできない問題だからではないでしょうか。

現地の人々の力だけではいかんともしがたい場合が多く、また、その地域の住民も、政治も、地球環境問題に取り組む意識と余裕がないのも、特徴でしょう。

「京都議定書」として有名になった地球温暖化防止京都会議は、1997年京都で開催され、締約国155カ国1,534人、非締約国6カ国29人、その他関係者710人、NGOなどオブザーバー278団体3,865人、報道関係者3,712人、合計9,850人(条約事務局発表)という、大規模な国際会議でしたが、

なぜ、これほどの大きな国際会議が日本で開催されたかといえば、実は、「お題目ではなく、地球環境問題に取り組める国は、結局のところ日本だからです」。これが世界の実情だと思われます。

日本は、オイルショックが起きて以来、企業が自主的に、自社製品やサービスの省エネ設計に取り組み、低コスト&省エネに智恵を絞って努力している国なわけです。その省エネ設計は、最先端の非常なハイテクとなっています。

黄砂の方は、

元になる中国の砂漠化を食い止めようと、少しでも役に立とうと、日本人有志、有志企業が出かけていって始まっているようですね。

こういった事情のため、

ただでさえ地面に保水力を持たせるためには植林が有効だという意識が低い中国現地の人々に、植林を教えるのがけっこう難しいようです。砂漠化していくなら、家を移すことしか思いつかない人々が多いのでしょう。

日本人ボランティアから植林を教えてもらった現地の人々の感想は、ちょっとすごいです。

「木を植えるようになって、はじめて、この土地に愛着が湧いた」というものが一番多いのだそうです。そんな観点から土地や自然環境と生活を考えたことが、今まで一度もなかったのでしょうね。

自然は、いま、現にあるものとして、利用するだけだったわけで、

その自然を保全するために「人間が木を植える」というのは、正反対の考え方に変わるということです。自分以外のもののために自分ができることをする、ということですから。

最初は、日本人ボラだけが黙々と植林しているだけで、村人は手伝わずに腕組みをして遠巻きにしていたそうです。が、3年ほどして1人、2人と、教えてくれと言ってくるようになる。というペースだそうです。

「いずれ、北京は遷都しなければならない」と中国政府内部でも発言が出ているというのは、半分冗談とはいえ、100年単位でみれば、そうなる可能性が高いのかも..。地図で見ても、北京はジェット気流に乗った黄砂の直撃をモロに受ける位置にありますから。

これもあって、

先週ご紹介したように、黄砂の季節になると、北京は強風と埃っぽさに晒され、笑われているというわけですね。

今後、一層の乾燥化が予測される地球条件の元で植林を進めるとして、単なる古典的な植林だけではラチがあかなくなるのは明白です。

中国政府、現地の政府機関と住民、世界気象や植物、植林の専門家、それに新技術などなどを巻き込んだ、国際的な事業にまとめていく力量をもった熱血漢が求められている分野だと思われます。

場所は変わりますが、

オーストラリアの砂漠を植林する試みでは、日本の新技術が使われて実験されています。

植える植物の根に、保水力の非常に高いある種のポリマーをまぶしてから植付けると、水分の少ない土地でも他の植物より成長も根付きもよくなるのです。

土中の水分をポリマーが吸収して、徐々に植物の根に供給していくので、一旦水遣りをした水分がすぐに砂中に消えてしまわないわけです。さまざまな可能性が考えられる新素材のようです。

こういった新たな取り組みに、期待したいものですね。

こういった取り組みは、ひょっとして、21世紀末や22世紀には可能になるとされている月や火星などの惑星環境に人類の住める擬似環境を作っていく際にも、下地となっていくように思えますが、どうでしょう..?

ということで、黄砂から考える環境コラムは、ひとまず筆を置きます。ありがとうございました。 <Rei>

◎来週号からは、いよいよ【 イスラムのゆくえ 】第2部が始まります。お楽しみに

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