智慧をキーワードに出来事を読む                 筆者へメール筆者紹介情報源/著作権/リンク発刊趣旨
情報化社会のe智慧マガジン                 
トップへ                                           
【読者の意見】へ
人前で話す人の教養のタネ ひとくち漢文
ブックス

一人は皆と、皆は一人と、共に影響しあって、世界は動いていきます。

もう無関心ではいられない、世界の動きを検証します。


-------------------------------------
■動き出す北東アジア 【2002年8月31日】

「日本海」が話題に上がっています。小泉首相が平壌に乗り込み金正日総書記との直接会談が実現するのです。

地球儀をクルクル回してみるとよく分かりますが、日本海はサハリンと朝鮮半島に囲まれた内海に近い。沿岸国の親交が進めば、地中海沿岸諸国のように、この日本海を中心とした様々なプロジェクトや交易が活発に行われても不思議ではないわけです。

日本地図を見ていると、日本海側を「ウラ日本」と呼んだりしていて、日本海側の地方都市も東京から遠く離れて割を食っているように思えます。しかし、軸足を日本海に据え、ウラ日本という捉え方を根本的に変えていく時期がきつつあるように思います。

北東アジア地域の変化は、今のところ個別ニュースとしてバラバラと報道されているので関連性がないように思われますが、すでに胎動が始まっているように見えます。

瀋陽の日本領事館への亡命事件も、北朝鮮の配給制度の放棄も、対話路線への変化も、経済難民の急増も、ロシアと北朝鮮の会談も、朝鮮半島の南北縦貫鉄道とシベリア鉄道を連結させるユーラシア鉄道構想も、ロシアのG8入りも、韓国による日本海呼称の変更要求も、日本人拉致問題も、よど号乗っ取り犯らの帰国意志も、さらに今回の小泉首相の訪朝も、北東アジアの新しい枠組づくりという、大きな流れの中で起きてきている一連の動きとして観ていきたいと思います。

北東アジアが動く最大の理由は、知ってのとおり、ロシアとアメリカの冷戦構造が終わり、昨年の9・11テロ以来、米露が同盟国のように接近し、北朝鮮をイラク同様に悪の枢軸国と呼ぶアメリカがあるからです。明治以降、常にロシアの南下圧力に対抗しなければならなかった日本の外交スタンスも、根本的に変化していくときを迎えているといえます。

北朝鮮は、誰の目にも明らかなように、民主的な自由主義陣営に国を開いていく以外、国民を幸福にする道がありません。もうすでに、脱北者を捕らえるより、出ていく者は出ていきなさい、という態度になっているらしい。アメリカは難民収容問題を検討している(産経8/30付け)といいます。どのような始まりになるかはわかりませんが、日米露中との対話路線を進めてASEANの1国として軟着陸してほしいと願わずにはいられません。

難民が陸路で中国東北部、モンゴル、ロシア極東部、韓国に出るだけで済めば、日本は対岸の火を眺めていることもできますが、万一、日本海をボロ船で渡り、日本海側の各地にも難民が上陸してくるのはごめんこうむりたい気持ちがします。

壁といえば、ベルリンの壁が崩れる数日前まで、東ドイツの人々は誰も崩せるとは信じていなかったといいます。壁を越えようとすれば射殺される、それが現実として続いていたからですが、ちょうどそのころ、ヘリかハングライダーかで壁を空からヒョイとまたいで越え、鳥のように自由に西ドイツ側に着地した兄弟がいました。このあとすぐに、東ドイツの人々は次々と壁を越えはじめ、雪崩を打つように壁を越えていったのだといいます。人々の思いが飽和点に達しているときは、小さな出来事が引き金となるから、北朝鮮関連のニュースには、当分注意していたい。

もし、朝鮮半島が韓国に統合される場合は、韓国は北朝鮮の軍隊を併合してかなり巨大な軍隊を持つようになります。北のミサイルと核施設を持つその軍事力は、一説には日本の10倍ともいわれ、軍事バランス上、これはこれでやっかいなことです。朝鮮半島は民族統一の悲願達成と国威発揚に燃え立ち、軍事的優位を誇り、今以上に、日本海へのリーダーシップを取りたがり、日本に勝とうとすることが予想されるからです。その場合、日本は好むと好まざるとにかかわらず、何らかの軍事バランスを取らざるを得なくなるかもしれません。そういう可能性も秘めています。

イラクがクウェートに攻めこんだときの軍事バランスが、だいたい10:1なのだそうで、あっという間に占領されてしまっています。10倍の差というのは、どうもそういうものらしい。

北東アジアが新しい枠組へと移行するまでには、それ以外にも、北朝鮮の民主化支援などの難問が待ち構えている。金日成・金正日親子の偶像崇拝体制で国を運営してきた国で、民主主義というものの考え方をしたことが一度もない人々です。自由主義経済の経験もない人々です。中国のように経済特区を設けて自由主義経済を練習することもなかった人々です。その自立までには、日本もかなりの支援をする必要があるだろうと思われます。

ですが、ここは、しっかりと日本海沿岸地域の発展繁栄のビジョンを描き、日本はそれを担うべきであるように思います。日本がリーダーシップを発揮して沿岸諸国の成長を支えて交易を盛んにしていくことで、この地域を安定させ、「日本海」を「東海」と言い換える云々という話しを将来的にも実効性のないものにしていくことが肝心ではないでしょうか。単に、「日本海」の呼称の歴史的な経緯を説明してまわるだけでは、韓国は納得しないように思えます。

いろいろあるでしょうが、各国が参加できる大きな発展へのテーブルを用意できるかどうか、構想力が問われていくだろうと思います。ロシアの極東やサハリン、シベリア地域、モンゴル、中央アジア地域、中国東北部、北朝鮮、韓国、日本といった参加国地域全体の活性化を考えたリーダーシップを要請されていくからです。

この日本海沿岸投資がはじまるときには、日本海側の各都市も、地方財界も、自分たちが主役となって発展に参加していくことが求められそうです。不況をかこってなどいられなくなるというわけです。

今回の小泉首相の訪朝は、そういった意味でも、成果のあるなしにかかわらず、北東アジアの歴史の転換点として記憶されていくのではないでしょうか。 <Rei>

ページトップへ


e智慧マガジントップへメールマガジン登録解除へ情報提供はこちらへ問合せオフィスレイトップへ

「情報化社会のe智慧マガジン」は、オフィスレイが運営しています。
文章・画像データの無断転載・使用はお断りいたします。リンク用バナーはこちらから。
質問、間違いの指摘、情報提供、掲載依頼、リンク問合せ、励ましのお手紙は、
yamaki@officerei.com までお願いいたします。


Copyright (C) 2002-2003 Office Rei All Rights Reserved.