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■迷走する北朝鮮【2002年12月22日】

24本の地下トンネル / 東声西撃(トンソンソギョク)


北朝鮮の言動の予測はまったくつかないので、関係国は暴発させないように様子眺めをしているようです。
なぜあそこまで、常に言動を左右するのでしょうか。少し調べてみました。


■24本の地下トンネル

ソウル経由の飛行機に乗ると、感慨深いものがあります。朝鮮半島は硬い花崗岩の岩盤の上に乗っているため、白っぽい岩肌に緑が申し訳程度に張り付いているような風景が多く見られます。あの真っ赤でホットなトウガラシ文化といい、朝鮮半島に住む人々の性格にこの自然環境は影響しているだろうなあと思われます。

その朝鮮半島から向きを変えてしばらくすると、眼下はるかに地表すべてをこんもりとした緑で覆われた日本の列島が見えてくるのです。緑がまあるくこんもりと盛り上がっているようで、ほんとうに、瑞々しく、地味ゆたかな地層だということがわかります。古来、瑞穂の国というだけのことはありそうだと、妙に納得してしまいます。きっと、こうした地質も民族の性格の底流を形成しているのではないでしょうか。

この朝鮮半島の38度線といえば、現在でも北側2キロ、南側2キロ、計4キロ幅の非武装中立ゾーンを隔てて睨み合いが続いています。

この4キロ幅の無人地帯の地下岩盤に、北朝鮮が南進用に掘っているトンネルが18本から24本あるといわれています。
現在まで見つかっているのは、4本。北朝鮮からの脱出者からの情報で発覚したといわれますが、そのすごさを、作家の深田祐介氏が現地取材して書かれています。(「鍵は朝鮮半島にあり!」 深田祐介・著 小学館)

彼らの革命のホンキ度がわかるので、この本からちょっとご紹介しましょう。

1975年にみつかった第2トンネルは、浅いところでも地表から50m、深いところでは160m。高さ2m、幅2m。あの硬い花崗岩の岩盤の中をダイナマイトで爆破しながら掘られていたのだそうです。1時間に3万人の兵士がトンネルから出てこれる規模といいます。73年に、韓国側の兵士2名が付近で断続的に爆発音を聞いたのだそうですが、そんな地下160mでトンネルを掘っているとは気づきません。
翌74年に、亡命者の証言がでて、山の上から垂直に穴を45本掘ると、7本がその地下トンネルに貫通して発覚しています。その穴から、韓国の兵士8名がトンネルに入ったところ、全員が北朝鮮軍の仕掛けていた爆弾で死亡したといいます。

トンネルの探索は今も続いているそうで、地底100mの花崗岩の岩盤を掘削しているトンネルを探すのは、コンピュータを使いながらも容易ではないようです。


■東声西撃 - トンソンソギョク

中国の兵法家・孫子の兵法にも、戦いの基本は、奇襲=相手をだまして不意をつくことにつきるとあります。

金正日も、父親の金日成が亡くなり最高権力についた1991年ごろ、兵器が古くて物資も不足している北朝鮮は韓国軍と全面戦争はできないとして、奇襲戦=襲撃戦に変更したといわれているようです。北朝鮮では「東声西撃 - トンソンソギョク」というらしいのです。

特殊部隊を主力としたゲリラ戦に、北朝鮮は膨大な国費をつぎ込んでいるようです。公称40万人、実質10万人程度といわれる兵士は金正日の中核部隊として、山岳戦、遊撃戦、夜間戦、襲撃戦、奇襲戦を得意として、かなりよく訓練されているといいますから、きっと毎日白いご飯とおかずを食べて訓練に励んでいると思われます。

身長160cm以上、体重60kg以上。雪の中でもビニールシート1枚被って寝たり、1日に石版を何枚か割る1万回訓練、丸太を1万回叩く訓練、びっしょりかいた汗で冷水摩擦したり。

と、こうした訓練を10年続けて格闘技の達人となった兵士が、地下トンネルを抜けてソウルなど韓国側に出て撹乱する奇襲戦を想定しているといいます。なるほど、38度線から45kmしか離れていないソウルの位置関係をみると、あながち絵空事とはいえないようです。

また、亡命した元人民軍兵士の言葉として、「〜金正日の性格は即興的で偏屈で、変化を好む。だから単純に考えればよいのです。〜」と紹介してあるあたりにも、現在の北朝鮮の言動の振幅の激しさの根拠が垣間見られるのではないかと思われます。日本に対しても、拉致を認めたかと思えば、一転子供をカードに日本を非難してみたり、一歩融和する方向に進んだとみせては、その同じ週に韓国軍と撃ち合ったり、日本の一部ジャーナリズムを使って対日工作をしたり。これも彼一流の撹乱戦法なのでしょうか。

現在では、核開発を続行すると言っては国際社会から非難を浴びていますが、きっと金正日は彼なりの計算があるはずです。まさか、国際社会から、窮鼠猫を噛むことにならないように慎重に見守られているなどとは考えていず、少なくとも、自分が窮鼠だとは思わないのかもしれません。

金正日は、北朝鮮の生き残りのためには、アメリカを何が何でも交渉のテーブルに引きずり出したいでわけです。

それで核開発をすると言って揺さぶりをかけている最中なので、ひょっとすると、国際外交の中心にいる有能な政治家としての自分が、いま世界ナンバーワンのアメリカと対等に渡り合っていると、感じているのかもしれません。そのうち、ごねていれば、周辺国から、まあまあといってコメも来るかもしれない。武器も買ってくれるかもしれない。その中でも一番の金目のものは、日本の戦争賠償金だと考えているでしょう。

こうした北朝鮮を見抜いて拉致被害者を連れ戻す手段がないものでしょうか。

旧東ドイツに拉致された旧西ドイツ人を取り戻すために、当時の西ドイツは、拉致被害者を東ドイツから買い戻したのだと、在ドイツ・ジャーナリストのクライン孝子さんがメルマガで書いておられました。お金がノドから手がでるほど欲しい東ドイツを見抜いて、1人いくらで買い戻したのだそうで、いやー現実的というか、まあ、大人の解決法ですね。

この発想、日本で通用するでしょうか? 

これなら、拉致者数が多いほど高額になりますから、死亡だ、自殺だなどと言っていないで、北朝鮮が出してくる可能性もあるのかもしれません。亡くなっていても、本物のお骨ならお金を払うといえば、それも出してくるかもしれませんし。現在、拉致が疑われる日本人は70名余ともいわれますが、お金を払うといえば数百人規模で出てくるかもしれません。

そのお金は、北朝鮮が核を捨てて国際社会のルールで生きると決意して、国内体制を各国のアドバイスを受けつつ整備していくときに、長期に渡って支払っていくことにしたらどうでしょう。北朝鮮復興のための資金に上乗せして支払われるなら、いいのではないでしょうか。

それとも、金正日がそれほど国家を考えてないようなら、スイスあたりの銀行に隠し持っている個人口座に入れてやって、身柄を保証して北朝鮮から出て行くようにさせるとか、どうでしょう。

気は小さいといわれる金正日です。しかも、全権限を1人に集中させる体制になっているということは、ごく小さなことでもいちいちすべてを判断をしなければならないということですから、その煩わしさと仕事の多さに内心うんざりするものではないでしょうか。週末に全国から集めた美女を侍らせてランチキパーティをしてお酒をガブ飲みしないと、やってられないのでしょう。

膠着状態に陥っている拉致問題には、まったく違った角度からいろいろ考えてみると意外なところから解決策が出るのかもしれませんね。
 
 <Rei>

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