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■どう見る、イラク戦争(2))(【2003年4月7日】
フセイン大統領側の思惑 / 手続きの正義 vs 歴史の正義 / 民主 vs 独裁 / 塞翁が馬

■フセイン大統領側の思惑

「独裁者の生存と独裁政治を許さない、先制攻撃でつぶす」戦争も最後のヤマ、首都決戦を迎えています。

今回はフセイン大統領側を見てみます。

国連査察、安保理決議などでのらりくらりするほど、開戦が遅れ、次に酷暑の夏が来るので、アメリカを戦わずに退散させられるので、有利になります。アメリカの開戦もぎりぎりまで遅らせてきました。

なので、フランス、ドイツなどの反対や、世界各国の情緒的な反戦デモ、や人々の厭戦気分の高まりは、フセイン大統領側を有利にします。市街戦になり、一般住民を巻き込むほど、テレビで世界の人々に戦争の残虐さをアピールして、反戦デモを活気づけ、厭戦気分を高められ、アメリカの非難と撤兵を引き出せるわけです。

フセイン大統領側は、軍司令部や会議も住宅街の中に作り、自国民の一般市民を人間の盾としています。

1991年の湾岸戦争当時、大義名分は「クウェートに侵攻したイラク軍を追い出す」でしたから、フセイン大統領側の軍がクウェートから敗走したときにも、連合国軍は、イラク国内まで深追いしませんでした。

フセイン大統領は、それをもって、「イラクはアメリカを撃退した、負けなかった」と強弁しているので、今回も、万一アメリカが酷暑と世論で撤退したら、敵を撃退した、勝ったと宣言して、独裁政治を続けると思います。



■手続きの正義 vs 歴史の正義

一方のフランス、ドイツとも、国連査察での立証がないことを盾に、イラク攻撃に強硬に反対しました。(開戦後、予想通り、フランスは開戦賛成を宣言して連合国側についています。)

この反対は、2003年3月19日の時点という、歴史の一断面としてみれば、その通りで、「手続き上の正義」とでも言えると思います。

では、「手続き上の正義」がない戦争はすべて悪か? というと、また違った観点が出てきます。

歴史の点からこの戦争を見るとどうなのか、という視点です。

ちょっと歴史を振り返っても、フランス革命の悲惨な戦い、ナポレオンの戦争、アメリカの南北戦争など、いずれも多くの血が流れましたが、当時、誰が正当な判断を下せたでしょうか。

「軍事」には、かなり後になって歴史的に評価が定まってからでないと、よく分からないという面があります。

戦争リーダーの評価も、その時点では、単なる戦争好きか、祖国を守った英雄か、歴史の転換点を拓いた英雄か分からないわけです。

そこで、このイラク戦争を見るのにどうするかですが、

●どちらの意見が滅びていく意見なのか、
●どちらの考え方が多くの人々を幸福にする考え方なのか、システムなのか、

という点から見てみると、少し歴史的な目で眺められるようになるのではないでしょうか。



■民主 vs 独裁

国といっても、人間の集まりですから、完璧な国はどこにもありません。それなりの長所と短所が裏表一体になっています。

そういった人間が集まり、国を作るのに、よりベターなシステムを選択していくこと、よりベターなリーダーを選択していく。より健全な考え方をしていく、ことではないかと思います。

イラク、北朝鮮など、独裁政治はどのような経過を経るにしても、滅びていくべき政治体制ですね。

国民を恐怖で統治したり、他国の繁栄を許さないという偏狭さで、自爆テロを仕掛けたり、テポドンを向けたりしたら、やはり安心して付き合えないですから。

フセイン大統領もかなりの恐怖政治をしていて、国外に40万人ほどが亡命しています。北朝鮮も命からがら逃げ出す国民が後を絶ちません。

こうした、国民がその国から逃げ出すような国は、政治を変えなければならないですね。ところが、独裁政治体制下の国民は体制を変革する力がないのがほとんどなんです。政治体制を変えるときは、だいたい革命か、戦争か、動乱が起きて国は大混乱してしまいます。

まあまあうまくいったルーマニアの場合は、自分たちでチャウシェスク大統領夫妻を捕まえて銃殺して、政治を転換してしまいました。

日本ですと、ペリーに品川沖から2〜3発の大砲を打たれて目覚め、政治社会体制を自分たちでほぼ無血で転換していきました。

これらは、かなり、世界の中で見ても上出来で、例外的な部類だと思います。



■塞翁が馬

ですから、ブッシュ大統領も、100年後、200年後に独裁国家を解体したケンカッ早い政治家として評価されるかもしれないですし、ようやくぎりぎりで開戦を決断して兵士を多く死なせた凡将といわれるかもしれません。わかりません。

フセイン大統領も、イスラム圏の問題点を提示した政治家、として名前が残るかも知れないですね。悪名が残る場合は、近代化が必要だと、誰もが思うようになった独裁者・フセインでしょうか。

日本の政治体制の変わった明治維新を見ても、ペリーの大砲2〜3発ですからね。

内側から変われないときは、外から何らかの要因が起きて、変わらざるをえない状況が出てくる。これは、人間の人生を見てもそうですから、国にも、好むと好まざるとにかかわらず、何らか起きてくるものと思われます。

戦争を推奨するわけではありませんが、この戦争ができる限り早く、戦禍も少なく終結して、イラクが民主化していくことが望まれます。

イラクの国民もこの戦争に負けるのは悲しいでしょうが、フセインの恐怖政治が終わり、民主化して、自由と豊かさを味わえるようになり、他国の繁栄に嫉妬したり、信仰する神の違いにかこつけてテロ攻撃をしないで済むようになったとき、このイラク戦争をまた違った目で評価するようになるのではないかと思います。

来週は、国連の限界 / 日本外交は浮上するか / 次は北朝鮮 辺りについて書きますので、おたのしみに
 
 <Rei>

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