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【 イスラムのゆくえ 】

序説

第1部
イスラム国寸描
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」

第2部
文明の概観、経緯、特徴
「イスラム文明拝見」

第3部
文明の盲点

第4部
文明の今後
2004年の年間テーマ【 イスラムのゆくえ 】
複数の視点と切り口から、このイスラムの行方に迫ってみようと思います。

第2部では、イスラムの中心部であるアラビア半島に目を向け、・イスラム文明が起こってきた経緯や、特徴・イスラム文明が担った役割をみてみようと思います。
「そもそも、なぜ&どのように、イスラムが起こってきたのか」から入ってみます。


             序説
ユーラシア異変
「イスラムとの遭遇」  第1部 イスラム国寸描        1〜3月
「イスラム文明拝見」 第2部 文明の概観、経緯、特徴  5〜6月
?            第3部 文明の盲点          8月〜
?            第4部 文明の今後          10月〜

の括りになるよう書く予定ですが、配信月など変わることも..。

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イスラム文明拝見 - 元祖アラブ人 【2003年5月9日】
    兄弟民族 / 被害者意識



アラブ、中東の砂漠地帯で生きる兄弟民族は、今日も殺戮に明け暮れています。

刑務所でのアメリカ兵が絡んだイラク兵虐待も発覚していますが、
シーア派強硬派指導者サドル師の顔も、かなりの戦闘面で、宗教指導者の悟りの香りはしませんね。

何が同じで、何が違うのか、相容れない点はどこなのかをまとめてみました。


■兄弟民族


「イスラム」という呼称は、イスラム教徒と、イスラム教徒の住む世界を広くひと括りにして言い表すのに便利ですが、特定の民族を指しているものではありません。

「イスラム」の厳密な国境というものはなく、最初はアラビア半島を中心に住んでいたアラブ人を指し、勢力拡大とともに地域も拡大しています。

このアラブ人の先祖は、「イーブラヒーム(=アブラハム)」で、ユダヤ人の先祖と同じだとされています。

アブラハムの妻サラの子孫が → ユダヤ民族へ
もうひとりの妻ハガルの子孫が → アラブ民族へ

つまり、異母(腹違いの)兄弟民族だとされているわけです。(詳しくは後で取り上げます)

ですから、民族的にも、地理的にも、非常に隣り合わせの人々で、宗教的にも同根のものから分かれた形ですから、そのためもあり、差異は決して認められないもののようです。

近しい者ほどその「差」に拘り、頑として譲りませんね。中東の殺戮が殺戮を呼ぶ展開は、この宗教の教えにコダワる限り、何も歯止めにはならないのでしょう。

ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒ともども、

・唯一神が存在する「ヤハウェ=エホバ」「アッラー」
・人類の祖先はアダムとイブ
・唯一神からの教えは、預言者が啓示を受けて、人間に伝える
・聖地はエルサレム (イスラム教徒も分離するまでは聖地としていた)
・善行/悪行が白日の下に晒される審判の日が来る

これら宗教の枠組みが同じです。根は同じです。

違いを挙げてみます。

・イスラム教 - マホメットが啓示を受けたコーラン
        キリスト教のイエスを、モーゼ、アブラハムなどのユダヤ教預言者だと公認し
        た上でマホメットを人類最後の預言者だとする。
        キリスト教徒のいう「イエスは神の子」を認めない。
           ⇒イエスは預言者に過ぎない。
        キリスト教徒のいう「三位一体説」を認めない。 ⇒偶像崇拝に当る。
        聖地はメッカに変更。

・キリスト教 - 新訳聖書
        旧約聖書の預言者すべてを認めた上で、「イエスは
        神の子」だと特別扱いをする。
        マホメットを預言者だと認めない。
「三位一体説」をとる。

・ユダヤ教 - モーゼが受けた10戒
        イエスも、マホメットも、預言者だと認めない。
        アブラハム、モーゼなどのヘブライ預言者しか認めない。

こうしてみると、大きな違いは、「唯一神から啓示を受ける預言者の認め方に違いがある」、「唯一神の呼び名が違う」だけのようです。

また、

モーゼが生きたのは、3000年前、イエスは2000年前、マホメットが1400年前と見てくると、古い宗教は、自分より後に出てきた預言者=宗教(つまり、より新しい宗教)を認めていません。

認めてしまうと、自分の方が古いですので、時代的に合わなくなっているのを認めることにもなり、宗教として生活も成り立たなくなる、などの理由がありますから。

この3宗教は、砂漠地帯の民族宗教です。その中で、世界宗教となったのはキリスト教ですが、人類普遍の「愛」の教えがあったために、1民族宗教のワクを越えて拡がったわけです。

ユダヤ教は、ユダヤ人のみが信仰する1民族のローカル宗教で、「ヤハウェ=エホバ」神はユダヤ民族のみを救済するとしており、世界に拡がる要素はないですね。

イスラム教は、世界宗教といえるでしょうか? 特定地域の賛同=比較的貧しい地域では可能でしょうが、先進諸国で賛同する宗教にはなりませんね。



■被害者意識

イスラム教徒の書いた資料を読むと、イスラム教徒像は西欧キリスト教徒から故意に歪められて世界に伝わった、と異口同音に弁明(?)しています。

確かに、十字軍以来のわだかまりもあると思いますし、兄弟民族としての軋轢もあるようです。

「右手にコーラン、左手に剣」「一夫多妻」「1日5回の祈り」「断食」という、イスラム教徒の印象は、キリスト教徒の偏見に満ちたイスラム像がそのまま日本に入ったのだ、というのです。

このイスラム教徒の弁明ですが、全部鵜呑みにはできないですね。筆者はむしろ、イスラム教徒たちが自分たちの姿を客観視できていないのではないか、と感じます。

この兄弟民族ですが、

確かに、お互いに相手をよく理解できなかったようです。

特にキリスト教徒には、イスラム教徒の「一夫多妻」が悪魔の所業と見えていたようです。キリスト教で説く「貞節」からはかけ離れた行為だと感じたようです。

今でも、「一夫多妻」を筆頭に男尊女卑を槍玉に挙げています。

これは、イスラム教徒側には彼ら独特の理由がありました。

異教徒にイスラムへの改宗を迫る際もそうでしょうが、敵対するものに対してアラブの人々の対応は苛烈をきわめます。今のイラクや中東全体を見てもわかるように、すぐに武力が使われます。

そのため、男性信者が戦闘で死んでしまい、残された家族の生活保障をするために取られた措置だ、というのが本音のようです。マホメットも4人以上の信者の寡婦を娶っています。

イスラムでは、女性は家の外での活動の場がないため、女性は寡婦になって働こうにも、外に仕事もほとんどないでしょうから、男性の妻になる以外に人生がほぼないわけです。

また、イスラム社会も女性をそのように位置付けているので、良し悪しは別として、4人まで生活の面倒を見ることになったのだと思われます。まあ、自業自得という感じがする社会福祉政策、それがイスラムの1夫多妻制度の真相というところでしょうか。

また、

キリスト教では、キリスト教以外では人間は救われないことになっていて、マホメットも、仏教のお釈迦様もみな悪魔の教えを説く教祖で地獄に落ちていることになっているわけです。

ですから、イスラム教徒側としては、自分たちはイエスを預言者だと「認めていた」にもかかわらず(ユダヤ教徒はイエスもマホメットも認めませんからね)、キリスト教徒から迫害されたと感じていたようですね。

それで、イスラムの人々は、自分たちはキリスト教徒より、ユダヤ教徒より、心が広いのだ、と感じているのです。偏狭なのはキリスト教徒だ、ユダヤ教徒だと感じています。

確かに、自分たちの信奉する神を、地獄に堕ちたと言われて、楽しいはずがありません。

もうひとつ、キリスト教徒側から指摘されていたことに、アッラーからの啓示があります。

キリスト教では、唯一神からの啓示は、通信の天使ガブリエルが中継をするとされているのに対して、マホメットは直接アッラーから啓示を受けたと言っていたため、啓示の信憑性を疑問視されていたようです。

その後、マホメットは、アッラー ⇒ ガブリエル ⇒ 経由で啓示が降りた、と変更しているといいます。

ユダヤ教徒は、3000年前のモーゼの十戒ですから、その後に出てくるイエスも、マホメットもまったく認めません。まあ、3000年前で止まっています。

イスラム教徒としては、既存の古い宗教(ユダヤ教、キリスト教)にけっこう苛められたと感じているのでしょうね。イスラム教徒独特の歴史的な被害者意識があるようです。

こうした背景を知ってイラク情勢を眺めてみると..興味深いものがあります。
<Rei>

来週は、西洋文明の中に溶け込んだイスラム由来のものを見てみます。

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