

【 イスラムのゆくえ 】
序説
第1部
イスラム国寸描
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」
第2部
文明の概観、経緯、特徴
「イスラム文明拝見」
第3部
文明の盲点
第4部
文明の今後
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2004年の年間テーマ【 イスラムのゆくえ 】
複数の視点と切り口から、このイスラムの行方に迫ってみようと思います。
第2部では、イスラムの中心部であるアラビア半島に目を向け、・イスラム文明が起こってきた経緯や、特徴・イスラム文明が担った役割をみてみようと思います。
「そもそも、なぜ&どのように、イスラムが起こってきたのか」から入ってみます。
序説
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」 第1部 イスラム国寸描
1〜3月
「イスラム文明拝見」 第2部 文明の概観、経緯、特徴 5〜6月
? 第3部 文明の盲点 8月〜
? 第4部 文明の今後 10月〜
の括りになるよう書く予定ですが、配信月など変わることも..。
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■ イスラム文明拝見 - 治安回復 【2003年6月27日】
失業対策 / 浮き上がるイスラム過激派
6月末のイラク主権委譲を前に、すでに、6月24日に、イラク全26省への権限委譲がすべて完了したと報道されています。
すでに、地方自治レベルでも全県で行政が機能して、約90%の市や町で評議会(議会にあたる)が設置されたといいます。(産経
6/26付け)
この実質的な権限委譲の順調さと、毎日のようなイスラム過激派テロ報道との間にあるギャップ。
イラクの治安はフセイン政権が倒れて以来、どうなっているのでしょう?
フセイン政権が倒れて以来、市民生活を秩序だてる警察機構はどうなっているのでしょう?
最近では、急ピッチで再構築が進むイラク警察の警察官も、かなり過激派テロの犠牲となっています。
日常生活は、まだ、安定には程遠いのでしょうか? 見てみました。
■失業対策
まず、フセイン政権崩壊後、
フセイン政権は、イラク最大の雇用者でしたから、軍隊、警察、秘密警察、石油の採掘、輸送、国営石油会社、鉄道、道路、通信、運輸などなどすべてのサービス業務は国営企業がやっていたのだそうで、それがなくなり、失業者が激増しました。
アメリカ主導の連合軍暫定当局(CPA)は、当初、イラク再建を図る基本的な考え方として、フセイン政権に関係していた軍や警察関係の人物を排除しようと考えたんですね。
まあ、新たに作る組織に旧フセイン政権にかかわった人物を入れたくないわけです。
つまり、フセイン政権につながってきた人々、スンニ派の政府役人、軍人、警察。こういった旧政権で権力をもち、羽振りがよかったスンニ派の人々は職がなくなり、復帰する道は閉ざされました。
その後、イスラム過激派テロが頻発するようになり、こうしたスンニ派の反米不満分子、復帰できない旧フセイン政権の元軍人などがアメリカ軍&兵を襲撃してくるようになり、かなり手を焼いてきたわけです。
そこで、
アメリカは、こうした不満を持つスンニ派旧勢力や、イスラム過激派の取り締まりに対しては、イラク警察機構を再建して、イラク人の治安はイラク人の手で行うようにすると方針を変えたのが、2003年秋でした。
一時は、ファルージャなど、スンニ派反米拠点でアメリカ軍兵士と旧イラク軍兵士などとの激しい戦闘も行われ、治安も悪化していました。2004年の4月は、アメリカ兵も最高の死者を出しましたが、この4月の戦闘が天王山だったようですね。以後は、徐々に下火になっていくと、軍事専門家は見ています。
このイラク新警察機構ですが、皆失業していて安定した職がほしいですから、かなり優秀な人材が殺到して、ほぼ40倍の倍率になっているとか。中にはスンニ派の旧政権時代の不満分子ももぐりこみ、イスラム過激派テロを手引きしたり、といったこともあったようですが、
次第に淘汰され、かなり優秀な組織になってきているようです。2003年末の資料では警察官18万人。人材は、もう、選り取りみどり状態で、充実しつつ発展しているのだそうです。
やはり、イスラム過激派や民兵などの、ゲリラ的な人物や組織に対応するには、正式な軍隊は不向きなんですね。
軍隊は、職業軍人が相当の訓練を積み目的をもった活動を行い、対戦する相手も、それ相応の訓練を積んだ正式な軍人なわけです。
そうしたスキルと組織に緻密に組み上げてあるわけですから、ゲリラ活動や民兵の掃討には不向きなのだそうです。
というのも、ゲリラや民兵は、一般市民の中に取り紛れ、潜り込んで活動しますから、軍隊で取り締まるという性質のものではないのでしょうね。
アメリカ軍が、イラク民家に潜むイスラム過激派をまるごと爆破して、その場の数十人が死傷して、誰がイスラム過激派テロ犯だったのか、一般人は誰だったのかも曖昧になり、
アメリカ軍の攻撃の非情さだけが目に付くニュース報道となってCNNなどのメディアを通して世界に配信されることも多くなっていました。
こういったゲリラ的なイスラム過激派や反米派の民兵などの取締りには、警察が最適だという判断があるようです。
警察は、地域住民と固く結びついて、地域住民の中でのみ活動して機能する武装組織です。テロや不法活動を行う人物を逮捕して、摘発して、彼らの行動を事前に予防することもできるからです。
そして、この警察機構の再建がまた、イラク人の収入の道にかなりつながっていると見てよいと思われます。
いま、イラクは、過激派や隣国イランから越境してきて反米シーア派を焚きつけるスパイなどが跳梁していますから、警察官は何人いても困らない状態です。
イランは強烈な反米シーア派のイスラム原理主義国ですから、隣国イラクに民主政権が立ち、自由選挙が行われる影響は、計り知れないものがあります。
ですから、
イラクの民主選挙を妨害し、シーア派の人々の中に、反米・嫌米のイスラム原理主義を伸張しようと暗躍しています。
こういった人物を取り締まるのは、市民生活に密着した活動を行う警察の仕事なわけです。
イラク警察機構の拡充とともに、イラク市民生活の治安も、急速に回復してきているようです。
■浮き上がるイスラム過激派
イラク警察機構が全国規模で稼動するようになり、しかも、各地域のイラク住民の住民台帳は、各地のイラク警察が管理しています。
ということは、その地域の住民は食糧配布チケットを持参して食糧と交換しますから、不審人物がいればわかるわけです。イラク人の76%が食糧配布を受けているそうですから、その程度の数の身元はすぐに判明するわけです。
しかも、その住民台帳は、2005年1月までに実施される自由選挙にむけた、選挙人登録台帳のベースになるものです。
もちろん、選挙実施を妨害する過激派テロや攻撃もあるでしょうが、この住民台帳が警察の管理下にあるかぎり、自由選挙の実施は順調に進むと思われます。
また、
戦争で途絶えていた社会インフラ、電気、水道、ガスといった市民生活に欠かせないエネルギーを担当する火力発電所の復旧も終わり、通常稼動に戻ったということは、いままで働いていたイラク人従業員の職場復帰もなされているということです。
イラク南部の油田地帯では、オイル生産も1日260万バーレルに回復し、この数字は戦前とほぼ同じ数字だそうです。
イラク南部の港湾、ウムカスルから、オイルをタンカーに積み込み輸出されています。輸出代金を当てて輸入する食糧も順調に入荷し、ウムカスルでコンテナに載せかえる港湾作業も復旧して、陸路、トラックで北上して、食料品は各地に届いているということです。
ですから、オイルの輸送ライン業務や維持メンテナンスする職場など、イラク人の職場が次々と現状に戻っている。
ということは、
イラク人の生活が日常的な平穏状態に戻るほどに、イスラム過激派テロや、反米イスラム原理主義者などの引き起こす事件は、一般のイラク住民から嫌われていくことになります。
せっかく職場に戻れたのに、その職場を過激派が爆破したら、また、一般のイラク人は失業してしまうからです。
また、なりふり構わなくなったイスラム過激派や反米派の不満分子は、当初の標的のアメリカ兵だけでなく、一般外国人など、一般のイラク人も含めた無差別テロに転じています。
この時点で、もはや、イスラム過激派テロと反米派の不満分子の活動は、どんな理由をつけるにせよ、一般イラク人から浮き上がったということです。
今後、イラク警察の拡充につれて、イラクの治安は確実に回復基調に乗り、イスラム過激派テロと反米派の不満分子の活動は囲い込まれ、ある意味で過激になり先鋭化していくのだろうと思われます。
しかし、一般イラク人からの支持は得られなくなっていくのでしょう。
6月末を待たずに、すでに全権委譲完了した、ということは、こうした声なき一般イラク人の意思=民意を反映しているとみてよいと思われます。
「イスラムのゆくえ」第2部は、これで終了です。おつきあいくださってありがとうございました。
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