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【 イスラムのゆくえ 】

序説

第1部
イスラム国寸描
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」

第2部
文明の概観、経緯、特徴
「イスラム文明拝見」

第3部
文明の盲点

第4部
文明の今後

2004年の年間テーマ【 イスラムのゆくえ 】

複数の視点と切り口から、このイスラムの行方に迫ってみようと思います。
1年を通して読んでいただくと、年間テーマが浮かび上がるように
してみたいと思います。

             序説
ユーラシア異変

「イスラムとの遭遇」  第1部 イスラム国寸描        1〜3月
「イスラム文明拝見」 第2部 文明の概観、経緯、特徴  5〜6月
?           第3部 文明の盲点           8月〜
?           第4部 文明の今後          10月〜


の括りになるよう書く予定ですが、配信月など変わることも..。

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ユーラシア異変(2)  【2004/02/01】 

イスラム化する世界 / 最前線 / 移民の是非


イスラムというと、砂漠とラクダと巡礼とをまず思い浮かべますが、
現在の世界ではどこまで広がっているものでしょうか。見てみました。

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■イスラム化する世界

目の前に、国ごとのイスラム人口比率を色の濃淡で表した世界地図があります。

国民の90%〜100%  濃い
国民の50%〜90%    ▲
国民の25%〜50%     |
国民の10%〜25%    |
国民の2%〜10%     |
国民の0%〜2%     淡い

その地図を実際に見ると、けっこうビックリします。

えっ、こんなに? イスラムなの? そうなんです。ユーラシア大陸を見るだけでも、

イスラムを中心に置いて世界を眺めると、ユーラシアは大陸の右端と左端が非イスラムなだけで、大陸中央部はイスラムの大地なんだと分かります。少なくとも、イスラムの人々はそう見ているのではないでしょうか。

右端の朝鮮半島、日本、台湾は白いですが、ごく一部です。

ところが、アジア4国(ベトナム、カンボジア、ラオス、ブータン)と海南島を除いた全地域がイスラム色に染まっているんです。中国も2%〜10%のイスラム色です。

今まで、仏教国だというイメージで見ていたミャンマーもタイも、10%ほどのイスラム国です。

赤道近くには、最大のイスラム人口をもつインドネシアが90%〜100%のイスラム色。マレーシア、シンガポールは25%〜50%のイスラム色。

ロシアもイスラム色に染まっています。西部のチベット、ネパール、インド、スリランカも10%〜25%までのイスラム色です。

本家の中央アジア各国は50%〜90%、90%〜100%のイスラム色です。

ヨーロッパを見れば、ギリシャから旧ユーゴ地域、東ヨーロッパが10%〜25%までのイスラム色です。

そして、以外というべきか、当然というべきか、

イギリス、フランスが10%までのイスラム色に染まっています。

また、アフリカを見れば、5国(赤道ギニア、コンゴ、コンゴ共和国、ジンバブエ、南アフリカ)を除く全域が、ほぼイスラム色のモザイク模様です。

この他、中央アメリカ、南アメリカにも、イスラム色に染まった国があります。

こうして見ると、砂漠地帯に起こったイスラム教とその影響圏は、国境をこえて、民族をこえてかなりの広がりを持っていると、改めて実感させられます。

砂漠とラクダと巡礼というイメージのイスラム教ですが、

実際は、発祥地の砂漠は元々人口が少なく、世界の他の地域に8億人以上のイスラム人口が控えているわけです。砂漠ではないところにも!

ですから、イスラムをどう理解するか、どうつきあうか、は世界各国の現在ただ今の問題だと実感させられます。


■最前線

ヨーロッパで2%〜10%のイスラム人口をかかえるのは、イギリス、フランスです。

この2国は植民地を持っていた関係で、植民地から人々が入ってきて、現在ではその世代交代が進み、国内生まれのイスラム系国民を抱えることになって、すっかり国内問題化しています。

イギリスでは1990年代に全人口6,000万人中100万人を超えるイスラム系国民を抱えるようになり、一定の政治的な影響を与え始めているようです。

人口の1%を超えていくと、物事は確実に世の中に対してさまざまな影響力をもっていくようになると言われます。

英王室のチャールズ皇太子が、英国国教を奉じるイギリス国民だけを代表する英王室なのではない、と発言して、イスラム系国民に配慮した発言をめぐり、代々英国国教の国民たちから不満が出ているといいます。

確かに、国王や女王が、いきなりイスラム教国民の王でもある、ということになると、釈然としないものが出てきてしまいます。

ただ、イギリスにはイスラム系以外にも、20万以上のユダヤ系がいますが、特に大きな政治社会問題にはならないことを考えると、このイスラム系の扱いはどの国にとっても、大変なようです。別な言い方をすれば、懐に火種を入れているようなものなのかもしれませんね。

一方

フランスでは、学校でイスラム系住民がスカーフを被る是非で揉めていると、報道がありました。

この国にも、イスラム以外に、ユダヤ系が200万人以上いることを考えても、イスラム系の扱いをどうするのかは、試行錯誤の段階なのかもしれません。

また、先日は

タイ南部のイスラム県で爆破騒ぎが起こりました。タイは、信仰厚い仏教国ですが、マレーシア半島の先に伸びた地域はイスラム圏と対峙しています。こうしたタイ国境の住民は、マレー系のイスラム教徒なんですね。

それで、タイ政府は、こうした南部のイスラム教徒に配慮して、国がモスクを建てて、宗教の自由を保証していたようです。治安は安定していると言われていました。

ですが、今回、イスラム過激派の流れでしょうが、公共の建物の爆破事件が起こり、その地にいた仏教僧たちが早くも他県のお寺へと移動していった、と伝えています。

ちなみに

日本では、在日韓国・朝鮮人が70〜80万人程、華僑系は50〜60万人程、日系ブラジル人労働者が25万人程、イラン人労働者数は分かりません。日本国内のキリスト教徒は100万人程なんだそうです。


■移民の是非

切り口はちょっと違いますが、先進国の問題として、外国人労働者や移民、難民をどう考えるか、という問題があります。合法的ではありますが、これも民族の流動する姿の1例です。

ドイツは、外国人労働者の積極導入政策をとり、イスラムのトルコ人がかなり国内にいます。

一定年数以上はドイツで働けないようにして、国内に留まらないよう帰国させる政策をとったり、一定以上の人口比率にならないよう制限もしているのでしょうが、やはり、子どもの教育をどうするかといった2世以後の問題が出始める頃になると、この宗教・文化の違いが際立ってくるようです。

期限がきてトルコに帰ったが、仕事環境や生活レベルが違ったり、やはり子どもの教育を考えてドイツに舞い戻る家族もいて、そうした子どもはすでに、トルコ人としてのアイデンティティーというより、新たなイスラム系ドイツ人というところです。

日本でも、今後の人口減少がはっきりしていますから、このあたりは考えておくべきことでしょうね。

ひとつは、外国人の移住や労働、難民に門戸を開いて、今現在の国民生産活動を維持すべきだとする論点があります。

一方、

反対に、東南アジアからの結婚移住の経過を見るだけでも、さまざまな問題があることが分かるので、移民、難民等の受け入れはすべきではない。人口減少に対しては、8,000万人規模で国を維持できるように下降シフトしていくべきだ。という論点があります。

いますぐ結論が出るものではないのですが、

近い将来に出る可能性の高い北朝鮮からの経済難民をどうするのか、から始まって、この移民や、外国人労働者をどう扱うかは、今後日本でもかなり論議を呼んでいく問題だと思われます。

特に、それが、イスラム系の場合は、宗教・文化の違いが際立つので問題が出やすいのだと思います。

日本人にはイスラム圏になじみがありません。日本に出稼ぎにくるイラン人などを見かけるようになって、ようやくイスラムの人々を少し知り始めた程度ではないでしょうか。

1民族の国民国家の日本の場合、日本神道を奉じる民族は他にいないので、もし移民を募る場合でも仏教系、キリスト教系以外の人々はなじみにくいのではないか、と筆者は感じるのですが..。

来週は、筆者が訪れたことのあるイスラム国の話に触れてみます。お楽しみに 
(Rei)

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