
【 イスラムのゆくえ 】
序説
第1部
イスラム国寸描
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」
第2部
文明の概観、経緯、特徴
「イスラム文明拝見」
第3部
文明の盲点
第4部
文明の今後 |
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2004年の年間テーマ【 イスラムのゆくえ 】
複数の視点と切り口から、このイスラムの行方に迫ってみようと思います。
1年を通して読んでいただくと、年間テーマが浮かび上がるように
してみたいと思います。
序説
「ユーラシア異変」
「イスラムとの遭遇」 第1部 イスラム国寸描 1〜3月
「イスラム文明拝見」 第2部 文明の概観、経緯、特徴 5〜6月
? 第3部 文明の盲点 8月〜
? 第4部 文明の今後 10月〜
の括りになるよう書く予定ですが、配信月など変わることも..。
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■イスラムとの遭遇(6) 【2004/03/14】
エコノミック・アニマル / 発展途上国の資格?
/ 多重文化 バックナンバー
イスラム圏のインドネシア旅行も6回目。
しばらくして見えてきたものに触れてみます。
■エコノミック・アニマル
しばらくインドネシアに滞在するうちに、筆者のインドネシア観はかなり変わっていきました。
まず、この「発展途上国」は経済的にも、文化的にも、両方遅れている、という見方があっさりと崩れていきました。
たしかに、物質面、経済面、政治をみれば、発展途上国そのものですが、
社会・文化の精神性というものが日常生活の前面に出ていることに新鮮な驚きを感じました。精神文化の頂点にはもちろん宗教があるわけですが。
イスラム教は偶像崇拝を禁じているので、特にそうなのかもしれませんが、
目には見えないが存在する至高神がいて、その、人間を超えた唯一絶対の存在のことをアッラーといい、この宇宙をつくった。そのアッラーからの言葉を、人間のモハメットが受けて伝えたのが、コーランだ。ということなので、
目に見えないもの=精神性を非常に重視する社会なんです。
筆者は、戦後日本社会に育ちましたので、宗教をバックボーンとした精神性を持つことを毛嫌いし、低く見て、
経済的・物質的発展などのGDP、GNPを国家復興の尺度とする価値観の中にいました。
そこから見ると、イスラム国の価値観は対極にありました。
精神性を重視する社会、まあ、言ってみれば、非常に大人な面を発見して、遅れた国という偏見の目からウロコが落ちたわけです。
「宗教をバックボーンとした精神性を持つことを毛嫌いして低く見ていく見方」は、日本人独特の見方で、少なくとも世界ではごく少数派で、人間として心底信頼されてないのではないか、ということを感じたわけです。
あるとき、イスラムの親しくなった友人と話をしていて、「宗教を信じない、神がいるなら見せてほしい」というと、その人は気の毒そうに、大きく息を吸うと筆者に言うのです。
「いいかい、神を信じるのが人間だ、お前はまだ、人間になってないんだよ」
まあ、宗教心のない日本人は、少なくともイスラムの人々にこう見られているということでしょうね。だから、エコノミック・アニマルなんですね。まだ、動物だと、人間になってないと..ウーン。
好むと好まざるとにかかわらず、彼らがこう見ていることを知っておくことですね。
■発展途上国の資格?
筆者は当時、インドネシアの人々を、「祈ってばかりいないで働けばいいのに」と見て、よく人にも言っていました。
もうちょっと必死に働いて、皆で智恵をしぼって、経済や社会の仕組みをどうしていくかを建設的に考える場を作って、もっと民主的な手法でやればいいのに、と。
何か意見が割れると、イスラムの高位者にお伺いを立てて決済を仰ぐやり方を、
民衆のレベルが低くて自分たちの自由意志で決める判断力がまだなくて、神の言葉として権威付けしないと動かない、社会制度も未成熟だから、と見ていました。
だから、発展途上国なんだ、貧乏なんだ、と。
ところが、いろいろな友人と知り合うにつれ、個人的には非常に洗練されていて、知性もあり、大人の人間が多いのにびっくりして、このギャップをどう理解していいのか、分からなくなったのです。
これって、発展途上国なんだろうか?? たしかに、経済的には..。
日本や欧米が先進国だというけれども、物量的、経済的な先進国ということか??
先進国からの経済援助を必要としているけれども、公共の利益になるダムとか橋とか、社会インフラを造る単品の経済援助では済まないものを感じていきました。
今回、いろいろなイスラム資料を読み、イスラム社会の特徴と問題点というものが見えてくるにつれ、当時の筆者の感じ方、そのギャップ感の背景が見えてきました。
これについては、別に取り上げていきます。
■多重文化
こうして、イスラム社会を楽しんでいるうち、インドネシアがイスラム一辺倒ではないことに気付いていきました。
インドネシアにイスラム教がもたらされる前のヒンドゥー文化時代、さまざまな王国があった時代の歴史が長くあり、その上から、イスラム教が西から東へと伝播していったこと。
そのため、最初にイスラム化されたスマトラ島などの西側に位置する地域の方が、イスラム色が強くて、島ごとにイスラム色は濃淡があり、東に行くほどイスラム色は薄く、独特の文化を造っていること。
表面のイスラム社会の奥にあるオランダというキリスト教国による植民の影響、イスラム以前の文化、歴史というものに気付かされるようになりました。
そして、イスラム圏という視点でいえば、アニミズム=自然崇拝、ヒンドゥー、仏教文化と混合しているインドネシアは、イスラムでは周辺国に当ることです。
今後、イスラム圏のゆくえを展望するとき、このインドネシアがイスラム圏で果たす役割は、ひと味違ったもののように思えます。
というのも、人口が2億人以上いて、アニミズムから、ヒンドゥー、仏教の文化ベースがあり、イスラムも受け入れ、さらに今後、精神性の高みを受け入れていくのだろうと予想できるからです。
おそらく、インドネシアにとっては、イスラムを受け入れたことは、アニミズム、ヒンドゥー、仏教をベースにした寛容の精神の発露にほかならないのだろうと、思われるのです。
8億、9億といわれるイスラム圏に与えるインドネシアの動向は、今後高まり続けるといわれるゆえんですね。
来週は、インドネシア旅行も最終回、華僑を取り上げます。お楽しみに
(Rei)
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