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ネポティズムを超えて(4) 【2003年5月11日】  恥と潔さ / まぶしい日本 (1)(2)(3)

イラク復興に向けて、早くも、10年以内に中東地域に自由貿易圏を構築する構想が打ち出されています。

21世紀の中東地域の最大のテーマは、

中東地域の諸問題を一掃し、自由主義的で民主的な政治・経済体制の国どうしが共存し合い、繁栄し合う地域になることです。

ですから、この時期に、こうしたビジョンを打ち出すアメリカのリーダーシップの取り方は、上手いなあと思えます。

イラクの人々は、今までの抑圧がなくなり、「これから良くなる!」という希望だけがある状態です。

社会システムの再構築の途上に、イラクの人々は縁故・家族偏重主義をまた入れ込むのでしょうか。気になるところです。


■恥と潔さ

日本人はどうやってネポティズムを卒業したのでしょう?

歴史的にみて、政治の腐敗は各時代にありますが、社会全体がネポティズムに落ちることなく来ている社会です。これは、もともと、縁故や血縁主義を良しとしない民族性があるのではないかと、私は考えます。

その理由は、

●やはり、「恥」と「潔さ」に負うことが大きいのではないでしょうか。

「恥を知る」「恥を知れ」などと使いますが、日本人は「恥」を感じる感受性で言動を律していこうとします。

自分の言動を他者に見られて、心が波立ち恥ずかしいという感情が出るなら、間違った点がそこにある、と、身を正すわけです。他者は実在の人間だけではなく、究極には神、天のことです。

恥文化が、ネポティズムの抑止力となって働いている、と思います。

また、「潔さ」も好まれます。これも、日本独特の概念で、外国語に翻訳しにくいものです。ピタッと対応する特定の英語はないという人もいます。

清潔で、クリーンで、強欲から最も遠く、さっぱりと、ものごとの責任を引き受けて生きることが好まれる、こうした日本人の基本的なメンタリティーからすれば、ネポティズムを潔しとしてこなかったのでしょう。

●また、日本社会は、かなり早くから、実力主義で処遇する価
  値観が行き渡っていたと思われます。

身分社会が続いていた江戸時代でも、諸藩の藩校では、武士の子弟だけではなく、身分社会の後期になるほど、町人や農民の子弟で優秀な者を藩校で学ばせたりしています。

また、江戸以前の下克上の時代は、実力主義の時代ですから、農民でも雑兵でも、織田信長は登用しています。木下藤吉郎、蜂須賀小六などなどが輩出しています。

さらに、もっと遡った聖徳太子の時代。それまで日本は氏族制度を採っていたわけですが、聖徳太子は門地ではなく人物の実力で評価する冠位制度を制定しています。

この聖徳太子の政策は、以後の日本の屋台骨を造ったともいわれる所以ですね。



■まぶしい日本

ネポティズムにどっぷりつかった国から日本に来ると、何が不思議といって、大きな施設や建物に政治家の名前が付いていないことでしょうか。

そして、大物政治家のファミリーが占める国営事業や国策事業がないことも、信じられないと思います。

大物政治家の子どもも、一流企業に入社するには、普通に入社試験を受けて、合格して入社し、他の新入社員同様、ゼロから仕事を覚えていくのが普通のことだと分かって初めて、各国の留学生などは感動すら覚えるのではないかと思います。

機会の平等が守られ、努力に対して公平な処遇をする社会システムがかなりまともに機能しています。
独裁者が出られないほど、国民の知性も高いですし。

戦後社会のアメリカ占領の後遺症もあり、課題も抱えている私たち日本人ですので、悪い面を強調して見てしまいがちですが、日本社会の良い面は、もっと意識的に評価していいのだと思います。

この日本の美質は、私たちには当たり前すぎて話題にもなりませんが、ネポティズム社会の人からみれば、強烈なあこがれなのだと分かります。

台湾の元総統、李登輝さんは、日本統治の美点として台湾の人々はこれを学んだと言っておられるようです。

日本の敗戦後、中国本土から国民党が入ってきたとき、台湾人の半数が以前のネポティズムの混沌社会に戻ってしまったが、自分は戻らなかったのだと言っているほどです。

イラク社会の復興と民主化も、このネポティズムをどう克服していけるかに、かかっていると思われます。

日本も、今回はかなり早く復興支援策を探り、「緊急人道援助」「軍人の武装解除と復員」「軍人の社会復帰」などへの支援を考えている、と、安倍晋三官房副長官の話を伝えています。(産経5/11付け)

そういった意味でも、

イラク復興に携わる日本人には、この日本社会の美質を良き影響としてぜひ伝えていただきたいな、と思います。
   <Rei>

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