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ネポティズムを超えて(1) 【2003年4月20日】  世界の常識? / 日本の特異点  ⇒(2)(3)(4)


イラクの今後の復興と民主化を考えると、あまり表だった話題にはなりませんが、難攻不落のハードルが1つあるのが分かります。

サダム・フェダイーン、サダム国際空港、サダム病院、サダムシティーなどなど、独裁者の名前のついた施設や組織の多いこと。また、国外へ逃げたと思われるフセイン政権の閣僚は、ほとんどが身内です。

こういった独裁政治の特徴は、何もイラクだけではなく、他のアフリカや東南アジア、中南米各国でも、ほぼ同じです。

そこで、ちょっと別の面から

独裁政治、独裁者が生まれる社会と、その土壌を見てみようと思います。おつきあいくださいませ。


■世界の常識?

先日、知り合いから電話がありました。

「取引先の奥さんがフランス人で、日本の翻訳会社で翻訳したいが、会社に電話しても断られてばかりだから会社を紹介してほしい、とかなり強く言われてちょっと参っている、どうしたらいいか」

というのです。聞くと、日本人と結婚して主婦となり、日本とカナダに半々に住む人だそうです。

ちょっとピンと来るものがありました。

案の定、さっそく彼女から電話です。会社を紹介してくれるか、会社に紹介状か推薦状を書いてくれ、というものでした。

私の返事は、

「日本の社会は基本的にオープンです。特に翻訳会社はオープンだから、あなたに翻訳の専門スキルがあるなら、日本人でも外国人でも、電話してトライアルを受けたいと言っていいんです。もし、だめなら、あなたの専門スキルか、日本語のコミュニケーション能力を評価しないか、人が足りてるかだと思います」でした。

彼女は重ねて、どの翻訳会社に行けばいいか、会社名と電話番号を教えてほしいと粘ります。

ウーン、ここは慎重にしないと..

気安く会社名をあげると、000さんから紹介された、と乗り込んでいく姿が目に浮かぶようです。「紹介」の意味が私たちが考えるより重いですし..

紹介状を当てにしないで、日本人と同じように、電話してトライアルのアポを取るようアドバイスしました。

それまで、日本の会社の閉鎖的な対応を憤っていた彼女は、電話口の向こうで穏やかになり、ホッとしているような感じを受けました。

ヨーロッパ社会も、意識の上でまだまだ階級社会構造を引きずっていますから、人々は、血縁やコネで人生を拓いていかざるをえないと無意識に考え、またそのように行動していくことが多いのかもしれません。


■日本の特異点

日本では、裏口入学、親の七光り、二世議員、就職の口利き、談合、縁故などなど、こういった血縁や縁故、コネをつかった世渡りにほとんどの人があまり良い評価を与えないのではないでしょうか。

社長が息子を自社に入社させても、人柄と能力があってうまくいく息子もいれば、ダメな場合も多いのを知ってます。

明治の元勲の子孫がいまどうしているかなど、ほとんどの人が知りませんし、知ったところで、ヘエーそうなんだぁ、と言われておしまいです。取り入って何か得しようとは、普通考えません。

明治時代に作った華族制度も解体していて、元華族といわれても、ああそうですか、というのがほとんどの人の反応です。元華族..伝々、といわれると、詐欺話じゃないか、と胡散臭くみられるのがオチです。

縁故に頼らなければならないのは、それ自体、何か弱点があると思われる部分もあります。

世襲自体が尊ばれるのは、天皇家と伝統的な芸事の世界に残るぐらいです。

会社に入るときも、推薦ワクを別にすれば、大学の就職課や新聞、ハローワーク、就職情報誌、チラシなどを利用した一般公募による自由競争が普通です。

このような社会では、誰もが望めば受けられる教育制度がかっちりと機能していることが特徴です。身に付けた能力やスキルが高いほど、望むところに就職がかないやすいわけです。

家柄や、年収、出身地に関係なく、本人の意思と努力、身に付けた能力を元に人生を拓いていけるような社会です。

一族郎党で周りを固める縁故主義、血縁主義をネポティズムといいますが、100数十年前までには、日本はこのネポティズムで社会を歪める段階から脱しているのです。

これは、世界の中で見ると、非常にまれな社会だと思われます。

このネポティズムと政治がくっつくと、独裁政治の温床になるように思います。

来週は、世界のネポティズム社会を見てみます。おたのしみに
<Rei>

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