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■米国予備選挙の意味するもの 【2004年11月22日】
民主主義を実現する方法 / アメリカの選挙フィーバー
/ 国力
2004年は、日本の小泉首相の選出や、アメリカのブッシュ大統領の選出などが済み、選挙の季節も一段落した気分です。
ですが、
イラクやパレスチナなど、イスラム圏では選挙が来年1月に迫ってきています。
この「民意」というものをどのように反映させるかは、選挙のシステムにかかっています。
ですので、今回は、選挙のスタイルを取り上げてみます。
■民主主義を実現する方法
民主主義を標榜する国は多数ありますが、その「民主主義」をどのように実現していくかについては、さまざまなスタイルがあります。
民主主義につきものの「選挙」にもいろいろな方法があり、日本は議会制民主主義を採用しており、首相を選ぶ選挙は全国民の直接投票スタイルではありません。
国民は、まず衆議院議員を投票で選び、その中から政権を担当する政党が決まり、その政党の議員と党員の投票で首相が決まる「間接選挙」なわけです。
いまは、自民党と公明党が政権与党として組んでいますから、小泉首相の選出時も、自民党の議員と党員にしか、首相(首班指名)選挙の権利がないわけです。
他の政党や一般人は、自民党内での党首選出をただ、眺めているだけしかできません。
しかし、
1国のトップを選出するという、民主主義のある意味でハイライトである選挙ですから、多くの人々が参加したいという気持ちがあるのではないでしょうか。
現行制度のまま、首相選出の選挙に一般人が1票を投じるには、自民党の各都道府県の自民党員として登録するしかないわけです。
ですが、この1点を突破すれば選挙に参加できるのも確かですから、
大多数の日本人が自民党に党員登録するなら、日本でも国のトップを直接選挙で選出することができるようになるわけです。ジョーダン半分ホンキ半分で、「自民党員になって選挙にいこう」と言われているようです。
こういう意見がチラホラ出てきているということは、
日本でも、「間接選挙」がつまらない、もっと積極的に自分の意見を表明して直接、国政に反映させていきたいと考える人々が増えているということでしょうね。
これは、
ある意味で、日本人が政治的に成熟しつつあるということを表していると思われます。
ですから、
首相指名に、密室で相談するような以前の自民党のやり方は、まったく人々に受け入れられませんし、今後もますます透明性の高い公正な選挙にしていかなければ、国民の納得を得られなくなるわけです。
透明性の高い公正な選挙にしたとしても、あくまでも、首相選出は「間接選挙」ですから人々の不満は貯まります。
今後の日本でも、国のあり方を考え、選挙制度そのものを再考する時期が来るのではないか、と筆者には思われるのです。
そのときには、
民意をどのように反映させるのかという観点から、「直接選挙」が議論されていくのではないでしょうか。
「間接選挙」の利点は、選挙運動の時間と資金が直接選挙に比べてかからないこと。その分、政治家は政治の本業に専念できること。そして、何よりも、国民の教育程度が低い場合は、「直接選挙」したくともできないということです。
「直接選挙」が機能するには、選ぶ側の人々に普遍的な良識や常識があり、家庭人・市民・国民として信頼される生き方をしているというハードルの高い条件があるように思います。
直接選ぶわけですから、「選ぶ責任」も非常に大きいものがあります。つまり、「直接選挙」制度にするには、この「選ぶ責任」というものを受け入れる覚悟が必要だともいえますね。
これが損なわれたり、未熟だと
民主主義の選挙は簡単に衆愚政に転落して、選挙は単なる人気投票になり、政治能力の有無を判断できなくなり、有名人や派手なパフォーマンスが効果をあげるようになっていきますよね。
■アメリカの選挙フィーバー
先ごろ終わったアメリカ大統領選ですが、
国土も広く、3億人近いですから、その選挙戦もかなり長期間をかけて戦っています。
そのフィーバーぶりが報道され、CNNでも、今回の選挙戦そのものが4年に1度の楽しいパフォーマンスになってしまったといった論点からリポートされていました。
そういった面もあるのは事実でしょうが
そこまで人々をお祭り気分にさせるというのは、一面では、自分たちで国のリーダーを選ぶ選挙に参加するという「予備選挙」制度がまだ有効に機能しているからではないかと思われるわけです。
自分たちの手で選ぶチャンスがあるわけですから、楽しくないわけはないのではないでしょうか。
そういった草の根レベルでの選挙運動が各地で組織されるのも、選挙ボランティア活動もさかんだというのも、
選ぶ側に、民主主義というものを体現する主役であるという自覚、もしくは責任感が当たり前のこととして根付いているからだと思われます。
アメリカの大統領選挙は、純粋な直接選挙ではありませんが、「予備選挙」というものをやり、大統領候補に投票する道が一般人に開かれています。
今回も、
この一般投票でみれば、ブッシュ候補(共和党)6051万票、ケリー候補(民主党)5717万票。けっこう余裕を持って、ブッシュ候補が勝っています。
負けたケリー候補に投票した人々が意気消沈したことや、2分された国論の亀裂の深刻さなども報道されていますが、
それもこれも、
かなり直接選挙に近い「予備選挙」制度を採っているアメリカの民主主義手法ならではのものです。
負けたケリー候補に投票した人々が、
負けちゃって世界の人々にゴメンなさい、というホームページを開設してコメントと写真を載せているというのも、少々笑えますが
ある意味では、選ぶ側の責任というものを無意識にも自覚しているということですね。
日本の首相選出で、世界の人々に対して一般人が意見をいうホームページなど、聞いたことも見たこともありません。そういった発想をする人、世界に対して責任があると感じるメンタリティーも、日本人にはまだ全体に少ないのではないでしょうか。
■国力
国力を計るバロメータは、軍事力、経済力(GDP)、人口、を筆頭にいろいろな側面から数値換算されていますが、今後ますます、重視される側面は民主主義の定着度です。
というのも、
今後21世紀は大戦争が起きず(地域紛争はあるとしても)、長くアメリカ一極支配の平和が続くと各専門家が指摘しているとおりです。
世界的な平和が続きますから構造的なデフレが進行することになり、それに伴い、経済活動も国境を超えた世界市場での競争が激しくなることとなり、どの国も世界市場の中で有用とされる商品やサービスを提供することで国の経済も国民の経済も維持発展していくわけです。
そうした世界市場に通用する商品やサービスを開発していくには、情報を自由に入手できる環境や、人の自由な移動や活動の自由が保証されていることが必要になります。
そうしなければ、世界市場での競争に勝つことはできなくなります。
そうした自由な環境を保証するのに、ベースとして民主主義という政体が必然的に要請されてきている、ということだからです。
まず、個人の独裁政治や、共産党1党独裁政治、戒厳令を敷く軍政などを採っていては、今後、世界市場の中でどんどん取り残されていくだけです。
経済が伸びていくには、安定した自由な政体が一定期間続くことが必要ですから。
こうした面からみても
アメリカの大統領選挙の「予備選挙」制度は、4年に1度ごとに、民意をできる限りダイレクトにトップ政治に反映させる仕組みなわけです。
アメリカ政治の変わり身の早さは、実は、こうした選挙で民意をすばやく反映させ、転換させ、修正させることが可能だ、という選挙制度が下支えしているのだと思われます。
こうした民意の変化を吸収できる制度を持っているために、
結局、長くアメリカの1極支配時代が続くだろうと予想されているのだと思われます。
そういった意味でも、アメリカがローマ帝国時代と比肩されるのだと思われます。
来週も、時事テーマでお送りしますので、お楽しみに
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