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時効をかける 【2003年2月2日】

法で治める / 法と感情を分ける / 合わせ鏡


■法で治める

近い将来出てくる朝鮮半島の安定化に、日本の賠償金的な資金を常に期待されつづけるのかと思うと、違和感を感じます。

賠償は過去の出来事に対して行う懲罰的な意味であって、前向きではないからです。しかし、朝鮮半島の未来に対して積極的に役割を分担し、また投資もしていくほうが気分もいいですし、同じお金を使うなら国民の理解も得やすいと思うのです。ちょっと整理してみました。

日本の植民地支配の賠償、強制連行、従軍慰安婦、南京大虐殺うんぬんと出るたびに、これは関係国の問題ではなく、日本人のメンタリティーの問題なんだなあと感じてきました。

というのも、日本の戦争賠償は関係国間で既にきれいさっぱり終わっているからです。関係国との手続きも支払いもかなり前に済んでいるわけです。

さまざまな考え方や行動をとる私たち人間社会では、一定の決まりを決め、その法律の範囲内であれば、何人といえども自由に活動することができます。これを、法の下に平等、そのような国を法治国家といいます。

感情や気まぐれで、社会秩序が乱されたりすることがないように、みんなで法律を作ってそれを守ろうということです。

この法に反した場合は罪に問われたり、償ったりしますが、その方法も、刑事、民事などに具体的に決めているわけです。

こういった考え方は、国と国の問題にも当てはまります。その突出した例が戦争です。戦争後は、戦後処理の会議を開き、関係国が講和条約を結びます。ここで戦争を終了させ、国境を確認し、賠償を勘案し、再び国と国として仲良くしようと握手(手打ち)するわけです。戦争は、それぞれの国の言い分がぶつかるものなので、負けた国は「賠償」はしますが「戦争の謝罪」はしない、これが欧米の戦争の見方です。

日本も、1951年のサンフランシスコ講和条約で再び独立国となり、戦争に負けた国の常として、賠償を科せられました。その後関係したアジア各国との2国間交渉を行い、すべて解決しています。

ちなみに、
●韓国は、戦争中は法律的にも日本国だったので、「戦争賠償」に当てはまりませんでした。
 その後日韓国交正常化を進めて、「日韓請求権問題の解決ならびに経済協力協定」という形で世界史上に類例のない「植民地時代の補償」をして、植民地時代を清算しています。

イギリスであれ、フランス、オランダであれ、他の植民地支配国で植民地補償をした国は、どこもありません。これは日本だけです。この点で、今後、北朝鮮も植民地補償に相当するものを要求してくるわけです。


■法と感情を分ける

補償後に、なぜまだ非難され続けるのか、です。その理由のひとつに、日本人は戦争に対する理と情(感情)の整理ができていないことが指摘されています。

つまり、「人間として、人の国を攻めたりして申し訳ない」という感情的で、情緒的な見方が(個人の感情の発露としては許容されるものですが)、国家の発言として出てしまっていることが問題なんだと思います。政治家の発言が、「戦争」に理性的に対処した発言になっていないわけです。

というのも、中国も、韓国も、戦後の交渉時から延々と非難し続けてきたのではないようなのです。昭和40年の日韓交渉時にも、何もこうした非難は出なかったようなのです。手打ちの後になぜ彼らは蒸し返してきたか、これは、彼らの名誉のためにもはっきりしておきたいと思います。

強制連行うんぬんについても、「正論」 平成15年3月号(特別対談 元朝鮮総督府幹部が「強制連行に反論する」)のなかで、発端を紹介しています。

平成4年1月11日付け朝日新聞の「軍の関与を示す資料発見」記事にびっくりした宮沢内閣が、報道の根拠や事実の確認をせずに、2日後に加藤紘一官房長官の謝罪談話を発表し、その直後に訪韓した宮沢首相が盧泰愚大統領に謝罪したことから始まった、と。

その後、村山首相のアジア諸国への見苦しい謝罪歴訪など、各閣僚が頭を下げているわけです。

政治家の発言ですから、法律に準ずる正式な発言として重いわけで、中国も韓国も、そうか、あの戦争は日本の侵略戦争で、自分たちは被害者なのだ、それなら保証してくれ、などと言ってくるようになったわけです。日本非難はけっこう最近起こってきた問題なんです。

で、肝心の事実関係ですが、国挙げての戦時体制ですから、「国民動員実施計画策定に関する件」という法律に基づき、日本人も朝鮮半島の人も男性も女性も徴用されていろんな地方や工場に行って働いたわけです。徴用はあったが強制連行はなかったといいます。従軍慰安婦も、軍が女性を性処理用に使えるなどというような法律は、日本にはありませんし、どの国にもないと思います。

日本は当時すでに法治国家ですから、軍部がかなり独走ぎみだったとはいえ、各法令をもってしっかり機能する行政機構を通して施行されています。

各専門家や当時を知る人々が、そういう事実はなかったという論拠をさまざまに発表しておられるとおりです。


■合わせ鏡

こうして、謝れば謝るほど、相手は非難したり、要求してくるという連鎖が出てきています。関係国が理不尽なら、日本も、その合わせ鏡で骨抜き状態だということで、同じくらい醜くなっているわけです。

また、この連鎖が、まず日本を貶める記事を発表する一部日本人やメディアがあって、次に政治家が慌てたり、関係国から文句が出たりして、それに即座に反論できなくて発生していることにも注目したいと思います。敵は身内にあり、ということです。

この連鎖を断ち切るには、健全な日本の歴史を理解して、明快に反論する言葉を持つ人が多数出ることだと思います。歴史観の甘い政治家が国際的に失言失策しなくなるように。

また、国際関係では特に戦争を理性的に見る目を養って、情緒に流され過ぎないことも大事かなと思います。戦争に懲りすぎて、戦争や軍隊を語ることまでタブー視しているため、語る知識も言葉もなくしている人が多いからです。ですが、人間は「軍事」を語れてはじめて一人前、とヨーロッパでは言われているのだそうですよ。

刑事でも、民事でも、「時効」を決めてあります。戦争も、国際紛争ですから時効があって当然ですし、「他国に攻め入って申し訳ないことをした」という感情が心から離れない人も、適当なところで自分で線引きをすべきではないでしょうか。過去を済まないと思う気持ちの向きをクルッと変えて、未来への貢献に転化してよいのだと思います。

関係国からの非難を止めさせるには、まず日本人が謝り続けるのをまず止めることからですね。
<Rei>

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