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一人でやれば個性、皆でやればそれはカルチャー。
人間社会の多様性を知る楽しみがあります。
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■よい意味でのエリーティズム復権 【2004年7月4日】
やらまいか精神 / 強みを伸ばす
イラク情勢など、激動の時代を迎えているイスラム圏のニュースに集中していた意識から離れてみると、何というか、非常な落差を感じますー。
何というか、改めて、
日本という国に開かれている繁栄と未来について感じざるをえません。
きっと、戦乱と貧困に明け暮れる国から日本などにやってくる人が味わうカルチャーショックと同じようなものなんでしょうね。
平和で、豊かで、ビルも道路もピカピカで、それをまたきれいに磨いている人がいて、車も鉄道も時刻どおりに進行して、滞りなく運営されています。
ああー、平和だなー、豊かだなー、と。
今回は、先週末に新聞発表になった「海陽学園」構想についてです。
おつきあいくださいませ。
以前、この智慧コラムで「教育」テーマを取り上げていますので、
こちらもご参考にどうぞ。
これから読む方は:「教育のグランドデザイン」
■やらまいか精神
最近、トヨタ、ホンダなどを筆頭に、名古屋を中心とした中部地方が興隆しているといわれます。
以前は、名古屋といえば、東京と大阪に挟まれて個性のない、宙ぶらりんな、と形容されることもあったのですが、その評価も様変わりしています。
筆者も最近、企業経営者の取材で浜松を訪れ、話を伺ううちに、中部地方興隆の一端に触れる思いがしました。仕事でも、名古屋の企業との接触が増えています。
よい意味で、
「やらまいか精神(と言っていました)」=進取の気性に富み、その良き伝統が息づいていると感じました。そして、太平洋に面して、街も人々も、海に向かって非常に伸びやかに開放されているような感覚でした。
新しいことに取り組む、人と違ったことにいち早く取り組む気概があり、合理的に考えて組み上げていく構想力があり、組織展開していかれます。
しかも、合理的で堅実な方々ですので、派手な広告を打ち知名度だけを上げたり、表面的な水太り体質の事業経営ではありません。財務的にも、非常に堅実な企業が多いといいます。トヨタの無借金経営は有名です。
こういった、時代の先を構想して集中していく気性は、デフレ期の閉塞感のあるような時代には、1頭抜きんでるためには欠かせない資質だと思われます。
豊田佐吉、豊田喜一郎、本田宗一郎、ヤマハ、スズキ、などなど、中部地方からは経済人にも独創的な人々が輩出しています。もちろん、歴史的にも、信長・秀吉・家康などなど政治家も、時代の変わり目に次の新時代を作り上げています。
こういった、前例に捕われずに、時代の要請を見抜いて恐れずに仕掛けていく人々が多い中部地方の特質が、今、再び光を浴びているように思われますがいかがでしょうか。
そうこうするうちに、今回
愛知県内に開校する財界母体の全寮制の中高一貫校、「海陽学園(仮称)」構想が新聞発表になっています。
トヨタ自動車、中部電力、JR東海の3社が母体となり、平成18年に愛知県内の三河湾に面した13ヘクタールの敷地に全寮制の男子校として開校するというものです。
いかにも、時代の先を構想する中部地方ならではの発想ではないでしょうか?
しかも、トヨタ自動車、中部電力、JR東海の3社が母体になるという、「財界=民間が経営」する中高一貫校です。
文部科学省や教育界からは、絶〜っ対に出てこない発想ですし、教育界でもし構想したとしてもまとめ切れるプロジェクトではないでしょうね。
でも、企業活動をしている民間の事業・組織のトップであれば、このプロジェクトはそんなに難しくはなかったのかもしれません。
日本の未来を託す教育に、今、一番危機感を募らせていたのは、実は経済人だからです。この海陽学園には、国内の有名企業多数が設立趣旨に賛同して、寄付金目標の200億円が集ったというのもうなずけるものです。
以前、この智慧コラムで「教育」テーマを取り上げていますので、こちらもご参考にどうぞ。
これから読む方は:「教育のグランドデザイン」
■強みを伸ばす
今の日本の教育制度と、教育界の人々の基本的な考え方に集中している批判のひとつに、「悪平等」というものがあります。
公教育では、全員が分かるようにしなければならない、と考え過ぎているため、そうすると当然、一番理解の遅い子どもに合わせることになり過ぎ、学力低下を招いているからです。
この学力低下が続けば、30年後の1世代後には必ず国力の低下という手痛いツケとなり、回ってくるものです。30年後、中国などもかなり国力を付けているでしょうが、彼らとやりあうのに、日本が次々に負けていく姿を見ることになるのはカンベンしてほしい、と筆者は考えます。
企業活動でも、
その会社の強みに特化し、集中し、研究投資することで、次の製品・サービスを開発していきます。それが連続できないと、会社は潰れてしまい、存続できなくなります。
人間は、能力や好みという個性がありますから、教育も一律には行かないものです。教育もある面で特化と集中が必要だと思います。
全員が分かる必要もありますが、同時に、次の時代を背負うリーダー層をいかに教育していくか、も並行して行う必要があります。
イギリス、フランス、アメリカなどは、エリート教育コースをはっきりと別体系教育コースとして持っています。
日本も、明治期以来、旧制高校
⇒ 東大という形で次世代を背負うリーダー層教育コースがあり、戦後日本の6・3・3制の教育制度の欠陥を指摘する声もかなりありました。
旧制高校復活の声もかなりありました。
でも、がんじがらめの文部科学省と教育界では、らちがあくわけではなく、誰が立ち上がるのかなあ、と見ていました。これは、多くの人がそう見ていたのではないかと思われます。
民間の塾もありますが、やはり、受験テクニックや補習重視の段階で事業展開しているところがほとんどではないでしょうか。あとは、せいぜい、生活指導を入れる程度です。
トヨタといい、ホンダといい、世界企業です。こういったメガ企業を運営し、次世代の世界の人々に製品・サービス・職場を提供し続けていくためには、世界規模での構想力や、リーダーシップ、そのリーダーシップの元となる人格形成、その背骨となる豊かな教養や真理をうがつ深い洞察、人間理解、異文化理解がかかせません。
そうでなければ、世界数十各国にまたがる現地工場や現地法人、その中で働く数十万人のトップに立つことはできない話です。
ですから、実は、こうした経済人トップたちは、海外で仕事をして通用する部下の教育には、切実な危機感を抱いています。人材が小粒すぎて、受験テクニックの優秀な人物だというだけでは、もう仕事がこなせないからです。
そこで、ついに、自分たち民間が経営するエリート校をつくる話となったのでしょうし、寄付金200億円を有名企業多数(アサヒビール、東芝、日立製作所、三菱商事などなど)が賛同して出したということは、うれしい半面、それだけ危機感を募らせているということですね。
なにはともあれ、
海辺に配置された完成予想図と「海陽学園」という名前の伸びやかさに、日本の輝かしい繁栄の未来をイメージできて、久しぶりにうれしいニュースを聞いたように思います。
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