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デフレ=不況という刷り込み  【2004年7月11日】
   刷り込み / 優雅に空を舞う鶴


デフレといえば、イコール「不況」「不景気」「リストラ」「モノが売れない」「先行き不安」という言葉が反射的に浮かぶでしょうか?

実は、「デフレ=不況」という考え方を一般人にここまで定着させたのはマスコミ報道ですが、

ここにきて、その間違いが明確になってきています。見てみましょう。



■刷り込み

「デフレ=不況」だと、条件反射で考えてしまう方がいらっしゃるなら、それはマスコミ報道による「刷り込み」か、「洗脳」がなされていると見てよさそうです。

「刷り込み」という言葉は、今では一般用語としても使われますが、オーストリアの動物行動学者でノーベル医学・生理学賞を受賞したコンラート・ローレンツが発見した行動原理です。

ローレンツは、孵化した灰色ガンのヒナが誕生直後に最初に目にした動くものの後にくっついて行くことに気づきます。

そこで、孵化したヒナの目の前で長靴を動かしてみると、その長靴を履いたローレンツの後をヒナがぞろぞろついてきたわけです。

ヒナは、長靴と母鳥の区別を、自分の意志で理論的に考えて納得しているのではないわけです。

ヒナは、最初に目にした動くモノに本能的について行くことになり、ローレンツはこれを「刷り込み」と名づけました。

この「刷り込み」は、時期が重要なポイントとなるようで、灰色ガンは孵化直後です。

灰色ガン同様、人間の知的な部分にも、この「刷り込み」はあります。

まず、新しい事象が起きたときに、最初になされて大量に流布した解釈があると、まず、私たちはその解釈=認識を、そういうものだと受け入れてしまいます。

灰色ガンと同じように、自分の頭で考えることなく、反射的に、流布する解釈を前提としてモノゴトを眺め、考え、行動していくようになります。

ですから、マスコミ、報道、出版などに携わる人々の責任は非常に大きいわけです。

現代社会では、政治、経済などの仕組みも非常に専門化・高度化していますから、マスコミ関係者が(大学で政治・経済を専攻したとはいえ)その判断=認識を間違えたり偏向したりすることも多くなり、「メディア・リテラシー」という、マスコミ報道の偏向やウソを見抜く学校教育もなされる時代となっているわけです。

今回の「デフレ=不況」という見方は、バブル崩壊後の10年ほど、日本を席巻してきた考え方のパターンです。

それまでの時代をインフレ基調で過ごしてきたため、デフレ基調に馴れていず、物価が毎年下がり、モノが売れなくなり、会社もかなり潰れてリストラも起こり、解雇や失業も増えるという経験は、高齢者を除くとほぼ初めて経験することでした。

一見して、デフレだからこの不況が来ているように受け取り、先行き不安感を持ったわけです。

リストラ、解雇、失業などを争って取り上げたマスコミ報道もあり、「デフレ=不況」という考え方がすっかり定着してしまった感がありました。

この考え方に立ち、「デフレ脱出法はこれだ」「デフレ脱出のための金融政策」などなど、いかにデフレから抜け出るかが検討されてもきました。

これはすべて、デフレ悪者論という見方です。デフレだから不況になった、デフレを脱出すれば景気回復基調に戻る、という考え方です。

これは、「デフレ=不況」という「刷り込み」が強烈に効いていると見てよいですね。

ところが、

今年の2月、各国のGDP発表がなされると、世界中がショックを受けたわけです。

デフレが続いており経済成長などありえない、と考えていた「デフレ=不況」刷り込み派の人々にはかなりのショックだったようです。



■優雅に空を舞う鶴

2004年2月14日号のロンドン・エコノミスト誌は、トップ記事に「Atlast Japan is flying again ! =ついに日本はもう一度飛び始めた(飛んでいる)!」を特集して、鶴が優雅に空を舞う写真を掲載している、と紹介しているのは経済評論家の長谷川慶太郎氏です。

日本の2003年GDP成長が実質6.4%だったのですが、世界全体の先進工業国の中で日本が最高の成長を遂げたからです。

アメリカの成長率が4%、ドイツ2%、イギリス1.8%、ヨーロッパ全体では2%以下、という中で日本は6.4%を達成しており、「デフレ=不況」という固定観念が間違っていたことを証明することになっています。

つまり、日本はデフレ基調で高度成長期に入ったと見てよいと思われます。年7%成長を10年続ければ、日本経済は2倍に膨れ上がるといわれます。まさに、「デフレの高度成長期」です。

つまり、デフレは日本経済にとり追い風になっているということなのです。

そして、この日本経済の好調さが、世界各国経済を支えることになっているのです。その期待感と驚異の目で眺めるまなざしが、ロンドン・エコノミスト誌のトップ記事に出ているわけです。

日本経済の好調さを牽引しているのは、輸出と設備投資です。

輸出の大きな特徴は、日本は世界一技術水準の高い国だということです。特許の輸出入で見ると、2001年度では特許輸出1兆1000億円に対して、輸入は4000億円。

つまり、輸入する特許より、その3倍近い特許を輸出しています。日本は世界全体に特許を提供する役割を果たす国であり、世界で一番、機械工業の発達した国になっています。

機械工業のベースとなるのは工作機械の生産です。もっとも性能が高くもっとも優秀なコンピュータ制御、NC制御の工作機械では、世界の65%のシェアを占めます。1982年に世界の工作機械の12%を占めてトップに立った日本は、2001年度では26%にシェアの伸ばしています。

つまり、世界の4台に1台の工作機械は日本製です、NC制御部門では2台に1台以上が日本製です。

このことは、つまり、世界各国では、日本製の最先端の工作機械を輸入しないと、競争力のある良い製品が作れないということなのです。

特許を日本から輸入しないと、各国は生産活動できないということなのです。

こうした新たな特許が、2004年から本格化すると予想される設備投資と相まって、今後とも続々と世界各国に輸出されていくわけです。

つまり、日本が輸出を伸ばさなければ世界経済は安定した運営をできない、ということを意味します。

2003年の日本の貿易収支の黒字は15兆円、2002年の12兆円に比べ25%増です。

こうした数字を追うと、

日本のマスコミ報道の「デフレ=不況」認識は根拠がなく、むしろデフレ未体験からくる感情的な不安感に過ぎなかったのではないかと思われるのです。

この10年間に起きた企業リストラなどは、経済基調がインフレ期からデフレ期に移行したのに伴い企業自身が変化しようとした脱皮行為であり、脱皮できなかった企業は潰れたということなわけです。

これは、私たち全員も、その意識を変えるよう、考え方を変えるよう要請されていることなのだと思われます。

「刷り込み」が効いている方は、こうした話を理解しようとしても撥ね付けてしまいがちでしょうね。

来週は、世界経済の現状を見てみます。お楽しみに
 <Rei>

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