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■凋落するマスコミ 【2004年11月8日】
関心 / 予想外れ / 情報化社会
今回は、先週終わったばかりのアメリカ大統領選挙から垣間見えたものを取り上げます、おつきあいくださいませ。
■関心
今回のアメリカ大統領選挙ほど、いろいろな意味で世界中の人々の関心を集めた選挙もないのではないでしょうか。
大接戦が伝えられたアメリカ大統領選挙です。
そんな、選挙を明日に控えたCNNをみると、世界各国の一般人に街角インタビューをしたものをアトランダムに流していました。
『 あなたはブッシュ候補とケリー候補のどちらに大統領になってほしいですか? 』
アフガンの井戸端で洗濯中の女性、
イラクの街角でカメラを向けられた男性市民、
イスラム圏の学校の教師らしい女性、
パリらしい街角で地下鉄の入り口に急ぐ女性、
アフリカのキャンプ(?)らしいテントのそばから、
商店街の店先で、店員か店長、
ヨーロッパの街のサラリーマンらしい男性、
自宅マンションに入ろうとするアジア人の男性、などなど。
さまざまな民族と人生背景の違う人々に各国語で質問する様子が映ります。
それぞれが、それぞれの理由を述べてブッシュがいい、ケリーがいい、と答える様子は、何かとてもほほえましいものでした。
この街頭インタビューをみる限りですが、イスラムの人々といえども、ブッシュ(=アメリカ)嫌い一辺倒ではないようにみえました。(CNNの編集の意図は多少割り引くとしても、です)
ブッシュのアメリカ軍に、外国人イスラム過激派テロ犯の掃討をしてほしいイラク一般人の声も収録されていました。ケリーになって、国連主導と言い、アメリカ軍が撤退したら困るのは自分たちだ、と答えていました。
しゃがみこんで洗濯をするイスラム女性が、半分照れて半分うれしそうにインタビューに答えている姿も印象的でした。
今の世界の貧富の差、政治の差は大きいものがあります。ですが、粗末な衣服を着て、しゃがみこんで洗濯する環境に生きながら、まったく、同時代の21世紀の国際政治の現状をそれなりに理解して、アメリカの動向が自分たちの明日の暮らしに密接に影響することを理解している様子が見て取れます。
こうした映像を見ると、つくづく、「アメリカ1極支配」などと声高に叫ばなくとも、アメリカの影響力の大きさを充分に実感させられるものでした。
日本でも、アメリカの選挙がこれほど詳しく報道されたことは初めてではないでしょうか。それぐらい、アメリカの動向が世界各国の行方に影響するため、関心を払わずには誰も明日を語れないわけです。
2000年のアメリカ大統領選のときは、興味が、フロリダの大接戦の混乱ぶりに注がれ、他国の選挙システムの混乱ぶりを「大変だなー」「アメリカ衰退の兆しか」と眺めていただけだったようにも思えます。
しかし、2004年の今、世界の状況はガラッと変わってしまいました。
アメリカ中西部、南部の朴訥なおじさん&おばさんのインタビューが映るたびに、この、イスラムも世界経済も一見縁遠いように思われる人々の一票の積み重ねに世界が影響を受けることを想像して、何か、目眩のような違和感さえ感じられるから不思議です。
多くの非アメリカ人が、今回の大統領選挙に1票を投じたかったのではないでしょうか。朴訥なアメリカのおじさん&おばさんが1票入れるなら、筆者も入れたいな、と思いました。
つまり、それだけ、世界の関心は、各国そして各個人のレベルでも高かったのだということなのでしょうね。
そして、
この関心の高さは、アメリカの政治、経済をはじめ、社会全体の透明性が機能していて、情報がオープンに世界に流れていることを前提にしているわけです。
結局、これが
アメリカの「民主主義」というものの姿、あり方を、つぶさに見る機会になっているわけです。
これは、
「普通選挙」の実施が2005年1月に迫るイラクなどのイスラム圏の人々には、まさに良くも悪くも民主主義のお手本として、大きい学びとなって見つめられているものなのでしょうね。
■予想外れ
こうしたアメリカ大統領選挙ですが、明確になってきたことがあります。
それは、
「凋落する既存マスコミ」。これが、はっきりしてきつつあるように筆者には見えます。
今回の選挙では、
選挙間近になって、ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙などなど、影響力のある一流新聞もケリー候補=民主党支持を打ち出しました。
自社の支持政党をはっきり打ち出して論陣を張るのが、アメリカの新聞なんだそうですね。
日本でも、大手新聞、テレビ、出版、などマスコミはほぼ反(=嫌)ブッシュの論調です。日本では、反米(=嫌米)スタンスで発言することが、マスコミ人の知性的なスタイルとなっています。
また、日本のエリートが留学することの多いハーバード大学などはリベラル(=民主党=ケリー支持)ですから、日本のエリート層は必然的にリベラル論調=反(嫌)ブッシュを引き継いでいる人が多いといわれます。
ヨーロッパも同様ですね、マスコミは反(=嫌)ブッシュ論調です。
アメリカでも、マスコミを中心に、反(=嫌)ブッシュ、ケリー優勢を報道していました。
ところが、
結果は、ブッシュ続投です。僅差どころか、一般投票分ではかなりの差がついているという結果になりました。
少なくとも、マスコミ界は、自分たちの予想が外れたわけです。
これには、かなり深い意味があると、筆者は考えています。
少なくとも、マスコミ人は、情報提供を本業としている人々なわけです。
その本業で、手痛い見込み違いをしているわけです。しかも、アメリカだけではなく、各国マスコミは軒並み失敗しているわけです。
本業ですから、情報収集、分析、統合、そして展望といった仕事を発表して、食べている人々ですが、
その、本業でまともな仕事をしていないわけです。メーカーで言えば、「不良品」を販売しているのと同じです。
つまり、
世論をある一定の論調の方向に向かわせようとしたにもかかわらず、失敗したということです。
CNNのニュースでは、
誰に投票するかで最後まで迷った有権者を、出口調査で調べるとたった5%だということですから、
大多数の有権者は、マスコミの連日のケリー候補優勢報道にもかかわらず、
選挙戦のほぼ最初から、ブッシュ候補への投票を決めていたということなのです。
つまり、
人々は、マスコミ報道からほとんど影響を受けずに、自分なりに判断を下し、スピーチ会場に行き、論戦を聞き、投票候補を決めているわけです。
既存の大手マスコミは、すでに、その程度の情報を提供するものになっているわけです。
厳しく言えば、
既存の大手マスコミは、すでに、世界の明日を展望して世論を導くという役割を果たせなくなってきつつあるわけです。
■情報化社会
既存のマスコミが凋落していく、この傾向は、今後もっともっと明確に出てくるようになると、筆者はみています。
既存のマスコミが倒産するか縮小する場面も出てくるかもしれませんね。
つまり、
そのマスコミの出す情報に価値がないと判断したら、その会社は新聞も売上部数を減らし、雑誌類も売れなくなり、影響力も小さくなり、会社も倒産します。
これは、言い換えれば
情報を扱う人々の仕事に、デフレの影響が及んでいるということだと思われます。
情報化社会ということは、
誰もがさまざまな情報に接することができるということです。その情報インフラは、すでに1980年代のパソコン、通信網の敷設、通信衛星などなどでかなりでき上がっています。
この通信網のおかげで、今ではさまざまな世界中の様子を居ながらにして、誰もが瞬時にみることが可能になっているわけです。
そして、各国とも、現在より開かれた政体(=自由&民主主義、情報開示)を目指して今後ともそれぞれの進度でがんばるわけです。
政治も、経済も、またマスコミといえども、このデフレの影響なしに済むものではありません。
つまり、マスコミ専従者と一般人の接する情報の差が小さくなってきているわけです。
これは、政治・経済の世界で進行中の「規制緩和」に相当するものとみてよいのではないでしょうか。
そうなったとき、
一定の偏向した論調や、情報を分析して統合する知力の劣るマスコミは、より正確な展望を出せなくなり、人々の支持を失っていくわけです。
誰もが情報を幅広く入手できるようになるため、
今後は、情報を分析して統合する知力と展望を持っていないマスコミ人は、人々に納得してもらえる情報を出せなくなり、支持を得られなくなるわけです。
この、現マスコミの「知力と展望」の実力が明確になったのが、今回の大統領選挙の各国マスコミ予想でもあると思われます。
今後は、人々は、多くの情報チャネルを操作して、自分で好みの情報を選択していくことが多くなるでしょうし、独自の「知力と展望」を世に問う個人ジャーナルの発行も増えていくものと思われます。
情報の選択権は、マスコミの手から、すでに各個人の手に移っているわけなんです。
マスコミから流される情報を鵜呑みにする時代ではなくなっているわけなんです。
マスコミ報道を判断基準にして政治なり、ビジネスなりの判断をしたらアブナイことが多い時代になるわけなんです。
毎週月曜にお送りしているこのメルマガ『智慧コラム』も、ホームページでのタイトルは『情報化社会のe智慧マガジン』といいます。
そういった意味で、
この情報化社会を照らす1つの灯台になるという理想を現わしたタイトルなんです。
情報化社会をどう見るかについて考えさせられた、今回のアメリカ大統領選挙でした。みなさんの予想はいかがでしたか?
来週も、時事テーマをお送りします、お楽しみに
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