智慧をキーワードに出来事を読む                筆者へメール筆者紹介情報源/著作権/リンク発刊趣旨
情報化社会のe智慧マガジン                 
e智慧マガジントップへ                        
【読者の意見】へ
人前で話す人の教養のタネ ひとくち漢文ブックス

一人でやれば個性、皆でやればそれはカルチャー。
人間社会の多様性を知る楽しみがあります。

-------------------------

教育のグランドデザイン(9) 【2003年8月31日】
 
「知」が力となる時代 / セルフ・ヘルプ / 人間本質の探求が最先端

教育コラムも最終回です。
9回も書きました、お付き合いくださってありがとうございました。
最終回なので、未来社会と教育について眺めて締めくくろうと思います。

知識社会がさらに進む今後の時代に、どんなものが求められ、どんな人が評価されていくのでしょうか。これを考えてみました。


■「知」が力となる時代

これからの時代を考えれば、今以上に高度な知識社会になっていくのはまちがいないでしょう。100年後、200年後はもっとでしょう。

高度な知識社会になればなるほど、「知」というものの価値があがります。

「知っている」ということが、値打ちを持ち、生産性を持つ社会です。ですので、教育事業もさらに質を高めて多様に発展していくと思われます。

ここでいう「知」は、歴史の年号を「知っている」といった、表面的なものだけではありませんね。森羅万象の奥にある本質を「知っている」ことです。

知識社会が進むにつれ、叡智というものの価値、叡智とは何なのか、何が智慧ある判断なのかが、明らかになっていくのだと思います。

こういった時代に、物事を知らなければ、どうなるか、ですが

今以上に、他人の意見を聞かざるをえなくなります。

ある物事が起こったとして、それが正しいものか、間違っているかどうかの判断ができませんから、他人の言説を受け売りでいうしかなくなります。

すると、たえず他人の言説が気になります。他人が今何をしていて、何を考え行動しているかを見て、自分もそれに合わせる。護送船団方式でいくしかなくなるわけです。自分でモノを考えなくて済むのでラクなんですが...。

ところが、

物事の良し悪しを計る尺度が、自分の内になくて、外にありますから、つまりは、人の言動の変化に合わせてコロコロ揺れるということになります。

これでは自信が持てませんし、あまり幸福な精神状態ではないと思います。

物事を「知っている」人は、物事の判断基準が自分の内にあるので、他人の言説で一喜一憂しないで良いわけです。

自分自身の判断に基づいて判断でき、また、その判断を他の人々に使ってもらえたり、人間や社会の発展に貢献できるようにもなります。「知」が生産性を持っていくわけです。

これは、とても心豊かで喜びにあふれた人生だと思います。

こうした、確固とした物事の判断基準を自分の中に獲得したいと願って、人間は永遠に学び続けるといっても言い過ぎではないと思います。

その手段のひとつとして、教育もさまざまに行われてきたのだと思います。

人間は学校教育を受けて、社会人として何らかの仕事につきますが、どんな仕事でも「よい仕事」をするには、その仕事に精通することが求められます。

その仕事をよく「知っている」からこそ、良い仕事をすることができ、お客さまの満足を生み、報酬や出世という評価につながってもいくわけです。

このように、「よく知る」ことの価値は今後ますます高まり続けて、社会はかなり高度に専門分化していくと思われます。

まさに、「知」が力となる時代なのだと思います。


■セルフ・ヘルプ

こうした知識社会を下支えするのは、個人のセルフ・ヘルプ=自助努力の熱意だと思います。これは、どこで身に付けるものでしょうか。

これこそ、幼少時からの家庭のしつけや、学校時代の学習や学力評価を通して身につける、人生の良き習慣なんでしょうね。

このセルフ・ヘルプの参考例に出されるのがマーガレット・サッチャー前首相です。

イギリスといえば、18〜19世紀以来の世界No.1国家でした。その後、アメリカに逆転され、衰退の一途をたどってしまったわけです。さまざまな回復策が打たれ、原因究明もなされましたが、どれも決定的なものではなく、ずるずると衰退して1970年代には社会全体が荒み、かなりひどかったといわれます。

サッチャーさんは政権トップにつくと、それまでの社会福祉重視を止めました。そして人々に、セルフ・ヘルプ=自助努力の精神に立ち戻るよう訴えかけました。そうしたら、イギリス病といわれた衰退がストップして、発展に転じたんですね。

この判断は、人間というものをよく知っている深い洞察力から出ていると思われます。

こうして、個人の熱意を元に人生も発展しますが、社会全体も次の発展期を作っていけるんですね。

教育も、人に一見やさしそうな制度や考え方は、案外衰退する道で、いつでもやはり本道は、セルフ・ヘルプ=自助努力で進む方にありそうです。

自分で努力して勉強して、新しい価値を身に付けて、その新しい価値によって人生を開いていくことが、今後の知識社会でも主流の考え方だと思います。


■人間本質の探求が最先端

知識社会が進むにつれて、各分野・各部門で物事の本質をさらに探究する流れが強くなっていくと思います。

いま宇宙物理の世界では、

物質でできているこの世界を、原子、分子、中性子、素粒子と解明してきて、ここまで分かってきたところで壁にぶち当たっています。

素粒子が、突然現れたり、消えたりするのですが、なぜそうなるのかが分からないからです。どんなに小さいとはいえ、物質なのに、いきなり何もないところから忽然と出てくる、また、いきなり消える。

これは、いままでの3次元に限定した物理理論では説明できないからです。他の次元をも入れた物理理論を構築するのが課題になっています。つまり、この「世界の成り立ち」をどうみるかということです。

また、医学の分野でも、

細胞の再生技術や遺伝子操作技術、不妊治療技術、クローニング技術などが進むにつれ、いろいろな問題が出てくるようになりました。

それは、「生命」とは何か、「人生」に対する大きな根源的な問いかけです。

ビジネスの世界を見ても、

産業カウンセリングという新しい分野も生まれ、企業経営者は従業員のメンタル・ヘルスを考えるようになってきました。従業員が生きがいを持って働ける職場をどうつくるか、は、経営者の新たな課題になっています。

ここでも、中心課題は「人間」です。

このように、今後は各分野で、「人間」存在を深く探求する動きが加速していくようにみえます。教育も、またそうですね。

なぜ学ぶのか、人間をどう見るか、世界をどう見るか、人間に対する根源的な問いへの探求は、今後、最先端の研究領域となり、その「知」を持つ人々が評価され、社会をリードしていくのだと思われます。それが、未来の「知識社会」の姿なんだろうなと思います。

今週で、教育コラムは終わりですー。来週は...お楽しみに

ページトップへ


メールマガジン登録解除情報提供はこちらへ問合せオフィスレイトップへ

「情報化社会のe智慧マガジン」は、オフィスレイが運営しています。
文章・画像データの転載・使用は、固くお断りいたします。
質問、間違いの指摘、情報提供、掲載依頼、リンク問合せ、励ましのお手紙は、
yamaki@officerei.com までお願いいたします。


Copyright (C) 2003 Office Rei All Rights Reserved.