智慧をキーワードに出来事を読む                 筆者へメール筆者紹介情報源/著作権/リンク発刊趣旨
情報化社会のe智慧マガジン                 
e智慧マガジントップへ                                                                   
【読者の意見】へ


人前で話す人の教養のタネ ひとくち漢文
ブックス


このニュース、この来事、このテーマ、このトレンドをどう見るか。

いちばん新しい、ホットな話題を取りあげてお届けします。

-------------------------------------
経済の日米同盟  【2004年7月25日】 (経済関連)
   アメリカ・ブーム / 双子の赤字 / 日本の役割


先週号では、

経済は、「生産」と「消費」の両方が必要であり、商品/サービスを媒介として豊かさを「循環」させて人間を幸福にするものだ、という話でした。

日本も、自国だけが輸出超過で、一方的に儲かるだけでは、世界経済の中で責任を充分に果たすことにはならないのだ、ということでした。

では、世界経済の中で、日本はどんな役割を担っているでしょうか? 見てみます。


■アメリカ・ブーム

政治的、軍事的なものとして理解されることの多い「アメリカ一極支配体制」ですが、世界経済の観点から見ればどうなんでしょうか?


今、アメリカという国が


ブームを迎えているのは確かです。その強さゆえに、アメリカ一極支配を揶揄されることも多いとはいえ、1990年代頭よりこの10年で、人口は3,500万人増えて、3億人に届こうとしています。

増えた3,500万人中、自然増は50%弱、移民が50%強。

実は、現役の米軍兵士の15%は移民であり、国籍が違います。彼らは軍役に4年間就くと退役できて、アメリカ国籍を合法的に取得して、その後アメリカ市民として生きることができるのです。


日本の感覚からすると、自国の軍隊の中に他国籍人が入っているというのは、ちょっと、受け入れにくいことですが、

もともと、アメリカは移民が集って国を作っているというのが国の成り立ちですから、軍隊は明確な忠誠心を発揮する場所として、そう違和感もないのでしょうね。

今、イラクにいるアメリカ兵の15%がアメリカ国籍のない移民だということを知ると、ニュース映像も違って見えるかもしれません。

で、スペイン語系、他言語系の移民が増え、アメリカ国籍の価値がグンと高まっているのです。



この人口増加を受け、アメリカ大都市近郊では大規模宅地開発が進み、住宅着工も200万戸を超えると予想され、自動車も2003年実績で1700万台売れています。


これに従い、山に伸びた宅地脇には、伐採された山林が腐るまで放置され、これが自然発火して山火事の原因となっているといわれます。カリフォルニアでも、かなりの山林を焼失しているとおりです。


こうした移民・人口増加を受け、アメリカ国内の消費も順調に伸びています。


アメリカ国内の消費が上向きだということは、住宅ローンの金利も低く抑えられているために、アメリカの国民がローンを組みながら家を建てられる状況、自動車などの大型消費財も購入できる状況だということです。

また、アメリカ国内の消費が順調ですから、発展途上国から輸入されたさまざまな生産物や工業製品を人々が購入します。すると、発展途上各国も安心してアメリカへの輸出を拡大でき、自国の経済成長を見込めるわけです。


つまり、

アメリカの景気が良ければ、世界の経済が回るわけです。

ですから、このアメリカの景気を好調に保つ努力を、主要各国が協調して行う必要が出てきたために、G7やG8などなどと呼ぶ先進国首脳サミットも、年を追うごとにその重要さを増しているわけです。

先月にも行われたG8サミットですが、ここでも、結局、アメリカのドル高を維持することが、各国首脳間の金融政策の基調として合意されています。


経済の循環という観点から見ても、アメリカは名実ともに、世界ナンバーワンの役割を果たすことを期待されているわけです。そうしないと、世界の人々が順調にゴハンを食べられないわけです。



■双子の赤字

世界経済の中に占めるアメリカ(27%)と日本(18%)の割合は、45%。ほぼ、世界経済の半分を2国で占めています。他アジア各国を入れると、51%です。

ですから、この2国の経済が上向くということは、世界経済が上向くことでもあります。


アメリカ経済は、「双子の赤字」を指摘されるように、「貿易赤字」と「財政赤字」という難題を抱えています。

貿易赤字は、発展途上国などからの輸出の引き受け先(=ラスト・リゾート..先週号では間違ってラスト・パラダイスと書いてしまいました!!)となっている部分がありますから、当然といえば当然の感があります。

もうひとつが、財政赤字です。

これは、アメリカ1国だけの問題ではありません。行政機構&組織が複雑にそして肥大化していくのは、どの国もそうなのです。

行政機能を縮小しようとすると、公務員が抵抗勢力となってしまい、日本でも民営化、民営化と叫びつつ、なかなか進行していません。

これは、民主主義政治の影の部分だといえます。

つまり、民主政治は、人々の声に幅広く応えようとしますから、どうしても、税金バラマキ行政の項目が増えてしまいがちなのです。


結局、この財政赤字を減らすには、「もっと国に何かをして欲しい」という、住民側の欲望を適度なところでコントロールしていくことが必要なのです。

つまりは、過剰な国頼みを止めて、シンプルな行政に限定して、後は、国民が自助努力をする、ということでしょうね。んー、言うのは易しいですが...


ですから、

つまり、個人でいえば、借金生活をしているのと同じです。

この難題の「双子の赤字」の穴を埋めるために、

アメリカはドルの長期国債を発行して=つまり、借金してお金を調達して、自国財政の収支バランスを取っています。

いったい、誰が、どの国が、その長期国債の買い手なのでしょうか?



■日本の役割

この買い手、つまり、アメリカ国内の低金利(=という好景気)を支えているのが日本だと、言い切ってもいいようにも思われます。

日本は、

膨大な貿易黒字で得た外貨で、アメリカの長期国債を買い上げ、アメリカ経済を裏から支えています。

日本の外貨準備高は2004年末には1兆ドルを突破するだろうと予想されているそうですが、

日本の外貨準備高のほとんどはアメリカの長期国債で運用されているのです。


つまり、

日本はアメリカに、長期資金を外国為替介入という形で提供しつつ、日米2国の景気を上向かせる役割を果たしているということなのです。


このアメリカ長期国債買い上げ(=円売りドル買い)は、

軍事・政治面での日米同盟である「日米安保」に匹敵する、金融・経済面での日米同盟行為なのです。


もし、日本が外国為替市場への介入を止め、アメリカ長期国債を買わなかったら、

たちまち、アメリカ長期国債の金利が上昇し、それに伴い、住宅ローン金利も上昇し、アメリカ国内の消費は冷え込み、景気が落ち込む。つまり、世界経済が混乱するということにつながるといいます。

ですから、日本が

外国為替市場で売りに出されるドルを、外貨準備枠で買い支えることで、アメリカ経済を支援しつつ、ドル高円安を維持しています。

平成16年度末までには、日本の外国為替介入資金は140兆円枠にまで拡大する見込みで、これでも足りないかもしれないと予想されています。


こうした、アメリカ長期国債の買い支え策は、日本を筆頭に、アジア各国も同様に行っています。


アメリカ国内景気の拡大が、自国の輸出高を拡大するのに直結することが理解できたアジア各国は、その経済規模の大小はありますが、それぞれに外国為替市場で輸出代金でドル=アメリカ長期国債を買い自国通貨を売って、アメリカ経済を支えています。


ですから、

2003年のアメリカ財政赤字4770億ドルのうち、長期国債発行新規分4300億ドル中4000億ドル分を、日本・中国・他アジア各国が買い支えたといいます。


面白いことに

この、経済の循環(協調と補完)が上手く機能しているアメリカとアジアは、各国経済も順調で、GDPも各国それなりに伸びています。


ところが、このドル買いでアメリカ経済を支えないEUのヨーロッパ各国は、軒並み不景気なのです。

ヨーロッパ各国は、この、アメリカ・アジアの経済循環の波に乗り遅れ、どう対応するかを迫られています。

EU各国は外国為替市場でドルを売り、域内の各国に外貨準備を溜めて力をつけて、アメリカ、日本に対抗しようという考え方です。


これは、EU発足自体の動機が、ブロック経済圏を構築して日本に対抗するというものだったからですね。

ですが、21世紀のデフレ世界経済基調に移行した現在では、

もはや、足枷になっており、ヨーロッパ各国も自国通貨を売りドルを裏から買い支えていかざるをえなくなっています。金融・経済の面でも、アメリカ1極主導の流れが出来上がっているからとも言えますが、


結局のところは、

「自国や自ブロックだけが有利に運ぶようにする」という一方的な考え方では、結局、発展・繁栄が続かないということです。経済というのは、富の「循環」がポイントだということですね。


実は、「経済」はとても、人間くさい営みなんですね。


来週は、デフレ経済の最新動向をみてみます、お楽しみに 
 <Rei>

ページトップへ


e智慧マガジントップへメールマガジン登録解除へ情報提供はこちらへ問合せオフィスレイトップへ

「情報化社会のe智慧マガジン」は、オフィスレイが運営しています。
文章・画像データの無断転載・使用はお断りいたします。リンク用バナーはこちらから。
質問、間違いの指摘、情報提供、掲載依頼、リンク問合せ、励ましのお手紙は、
yamaki@officerei.com までお願いいたします。

Copyright (C) 2002-2004 Office Rei All Rights Reserved.