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一人は皆と、皆は一人と、共に影響しあって、世界は動いていきます。

もう無関心ではいられない、世界の動きを検証します。


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■SARS、中国の課題と希望 【2003年6月8日】
経済で地球を締め上げる赤いタコ / 世界の工場 / 工場のある歌舞伎町

SARS騒ぎもようやく峠を越しそうですが、中国の課題は山積したまま。どれもこれも一朝一夕では解決しない問題として、どう取り組むのかが今後世界中から問われ続けていくものばかりです。ちょっとみてみました。

経済で地球を締め上げる赤いタコ


ニューズウィーク誌の表紙に、少し前、中国が出たのだそうです。

(Webで探しましたが、日本語版アーカイブにはなかったので、本国版のようです。どなたか見た方はいらっしゃいますか?)

「8本脚の真っ赤なタコが地球に覆い被さりギューギュー締めつけている」

このイラストは、今の世界の人々の中国観を端的に表していて非常にインパクトがあったようです。

もちろん、今回のSARS騒動もそうですし、

世界経済に大きな影響を与える中国経済、軍事拡張を続ける覇権主義、日本の10倍の人口を養うためのエネルギー・食料・水などの資源問題、環境問題、爆発し続ける人口問題、都市問題、共産主義と市場経済を同居させるという矛盾、人権抑圧などなど。

これだけみても、21世紀の世界各国の中心的な関心事は、中国問題なのだということがわかります。

というより、情報、交通、経済とこれだけ世界中が密接につながっている時代ですから、宇宙船地球号の乗組員としては、中国問題の影響を受けないで済むことはないですし。

ですから、イラクや北朝鮮の問題などの局地的な問題もあることはありますが、大きなくくりでいえば、あまり大した問題ではない(=解決の方向が必ず近い将来に出るという意味で)と思います。中国問題に比べれば。

中国問題は、軍事、政治、エネルギー、環境、経済など、どれをとっても多くの国々とかかわりがあり、その影響たるや全世界的なわけです。

アメリカの21世紀の世界戦略も、この中国戦略、この1点に収斂されていると指摘されてきましたが、今回のSARS騒動が起こり、はじめて、世界の人々は中国問題の1つに直面したのではないでしょうか。

このSARSですが、中国問題への関心を呼んだという不幸中の幸いの面もあったのかもしれません。


■世界の工場

今回のSARS問題の解決には、前号にも書きましたが、人々の衛生観念教育や、不衛生な環境の整備がかかせません。

しかしこれは、1年や2年で達成できるようなものではないわけです。

いま、中国は経済開放の波に乗り、経済発展の道をひた走り、「中国は世界の工場」だと胸をはっています。

世界各国からは、安い労働力を求めて現地法人が設立され、そこで生産された安価な商品が大量に出回るようになり、各国ともに、人件費の高い国内産業の分野では中国との価格競争に負けて成り立たなくなっている業界も多く出ています。

発展途上国では、安い中国製品がその国の市場を席巻して、まだ十分育っていない各国の産業を飲み込もうとしています。

しかし、冷静に見てみれば、中国製品の「安さ」を支えているのは何でしょうか?

外資を導入して今の経済発展の勢いを得ていますが、外資の70%は台湾資本に頼っていて、国内の資本家はまだ一握りです。

すると、そこで働く人々は、

非常に安い賃金のまま、上下水道や換気などのない劣悪な環境に置かれている地方からの出稼ぎ労働者などです。彼らの必死の長時間労働なわけです。

今、こうした劣悪な環境からSARSが発生ブレイクしているわけです。

ですから、

今、中国がしなければならないのは、中国製品の単価は上がるでしょうが、賃金を上げ、社会資本(=つまり、上下水道の普及・清潔な建築物など)を充実させて多くの人々が健康に幸せに人生を拓いていけるようにすることではないでしょうか。

つまり、いつまでも「安さ」の上にあぐらをかいてただ安価な製品の輸出に血道をあげるだけではなく、経済発展して豊かになった資金の一部を、労働者に還元したり、社会のインフラ整備に投下していくことだと思います。

ところが、

今回のSARS騒動の最中、「中国はSARS撲滅と経済発展を両立させる」という政府高官の発言がありました。

これを聞いたかぎりでは、中国は今の経済発展の路線、GDP目標値を変えようとはしていないようです。

これでは、共産党政府が中国の人々を痛めつけているのとなんら変わらないのだ?? と思えてきます。


■工場のある歌舞伎町

今の中国を、「何でもありの新宿・歌舞伎町のなかに工場があるような」と、形容するとピタッとくるという方もいます。

何でもありの、まさに混沌とした様子が伝わってくる言い方です。

しかし、

これは、ある意味で19世紀の産業革命時期のイギリスも似たり寄ったりだったようです。

それまで、牧畜などの農民生活だったところに、いきなり工場が建ち、近隣の人々が仕事を求めて集まってきて、窓もない、上下水道の不備な貧民街が周辺を取り巻いていったわけです。

そのころは、イギリスが世界の工場といわれ、世界の工業製品のほとんどを生産していました。

所得も年々倍増して、それにつれて人口も年々膨れ上がり、経済も発展していきましたが、新たな病気なども発生しました。

農村生活では、下水なども自然の自浄メカニズムのなかで解消されますから、あまり問題にはなりません。

つまり、都市問題は、

多数の人々が一箇所に寄り集まって生きるときに、ゴミや下水をどうするかといった問題となって出てくるのだと思います。

イギリスでは、この産業革命初期の数十年にわたって4度コレラが発生しています。

こうした中で、イギリスは根本原因となっている上下水道を網羅して整備し、税制、建築基準などを見直して、約10年をかけてコレラを撲滅していきました。

中国にも、ぜひインフラ整備をしていただいて、SARSを根絶して、より安定した国の段階へと進んでいっていただきたいなと思います。

これをしないで経済発展だけを目指そうとしても、今回のSARSは収まったとしても、数年後にはまた似たような病気が流行していくのは、イギリスの例をみても明らかですから。
<Rei>

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