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技術を使いこなす智慧が問われます。

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■SARSは流行るべくして流行っている(3)
 【2003年6月2日】  ⇒ (1) (2) 
SARSの症状 / アモイガーデンE棟7号室、8号室 / 空調の落と

先週は、陰圧室に患者を密閉隔離するSARS対策と、ベトナムでのSARS撲滅方法の違いをみてみました。

今回は、SARS感染拡大の原因ともなった空調についてみてみます。


■SARSの症状

日本旅行後に台湾の医師がSARSを発症したと分かると、日本人は過剰ともいえる反応で、あっというまに消毒作業をしてしまいました。

一連の動きをみていると、なるほど、この徹底ぶりなら、感染はほとんど防げるような気がしてきます。

騒がれているSARSですが、かかった場合の症状はどんなものでしょうか。

いろいろな報道を総合すると、

病状はほぼ1週間ごとに3段階で進行するようです。

・最初の1週間は発熱や筋肉痛などの風邪のような症状が出るが、治療すると数日で治まる。
・しかし2週間目に入ると熱がぶり返し、下痢が始まるなど症状が悪化。
・痰へのウイルス排出は発病5−10日後がピーク。
・全体の2割が3週間目に入り、人工呼吸器が必要なほど病気が進行する。
・現在のところ、死亡率は14ー15%、他の85%は回復している。

また、このSARSウィルスが生き残る日数は、

・便  中 ー2日
・尿  中 ー1日
・下痢便中 ー4日

との研究があります。


■アモイガーデンE棟7号室、8号室

中国の広東省で昨年秋に発生したSARSは、感染していた医師が旅行先の香港のホテルで発病して死亡したことから、一気に広がりました。(最近、一昨年の2月には発生していたという事例が報告されています。)

この香港、「淘大花園=アモイガーデン」という高層住宅団地でのSARSの爆発的な広がりの発端を調べると、19世紀のイギリスのコレラ発生との共通点がみえてきます。

アモイガーデンは、香港の九龍地区にある、19棟ある高層住宅団地です。全部で4,986戸あり、およそ17,000人程度が住んでいるといわれます。そのひとつ、36階建てのE棟の中層階に住む男性宅を、広東省(最初のSARS流行地)からきた33歳の兄が訪ねました。この男性に下痢を含むSARSの症状が最初に現れたといいます。

このアモイガーデンのある香港の九龍地区といえば、1キロ四方に5万人が住むという超過密地区で、ネズミやゴキブリの多さでもダントツ。エレベータ・ロビーに換気がなく、太陽光線の当らないところが多く、窓もない。多くのビルのパイプは外側についていて保護されておらず、漏れが起これば家庭を汚染しかねない状況です。

このアモイガーデンでの患者発生を調べると、その約70%がE棟の7号室、8号室の住人に集中しているというので、原因の調査が行われました。

すると、下水管に問題があり、

異物の進入を防ぐU字管の水が干上がっていたため、汚水の粒子がトイレや風呂に侵入して、その後、換気扇が排水口から粒子を吸い上げて、空気中に拡散させたと分かってきたのです。

しかも、各階にある8戸の8本の汚水縦管は、トイレや風呂などからの排水口とU字管を使って接続されていたといいます。

19世紀のイギリスの場合、4回コレラの流行に見舞われ、そのつど約20,000人の死者を出しています。その原因を調べるうちに、どうやら、病人が発生するのは特定の「場所」か「建物」だと分かってきたのだそうです。

当時のテムズ川の南は、満潮時には水が逆流してゴミが滞留するポイントとなっていたのだそうです。

また、当時のイギリスの貧民地区では、掘建て小屋に窓をつけず、日の光も差さず、換気も考えられていなかったようです。というのも、当時は窓を付けるのは贅沢だとされ、窓を付けると窓税がかかったといいます。

こうした、汚物が淀んでいるような不潔な環境から、その汚物から出る病原体を含む空気が出て、その周辺から病人が出ていた、と原因をつきとめていきました。

今回のSARSでも、やはり、病気が拡大したのは、下水管の不備な特定の建物からでした。


■空調の落とし穴

現代では、どの家、どの建物にも空調設備があります。通常は空調のスイッチを入れるだけで、よほど変な臭いでもしない限り、どの程度どんな空気の入れ替えになっているかまでは気にしません。

まさか、

病原体を含む汚水が淀んで、そこから発生した汚染された空気が下水管からトイレや風呂、キッチンへと上がって、部屋に侵入し、さらに部屋の換気扇で他へ拡散していったとまでは考えつかないのではないでしょうか。

空調は、完全に機能すればすばらしいものですが、往々にして逆の働きもしてしまうことを肝に銘じていたほうがよいようですね。

特に、現代の建物は機密性が高く、壁で囲むことで空気の流れを遮断することになり、強制的に空調で空気を循環させるという考え方が多いようですが、

その空調をつけることで、どこからどんな空気を入れているのかがポイントになるようです。

アモイガーデンの住人も、SARS発生前から、トイレで悪臭がすると苦情を言っていたのだそうですが..。

来週は、SARS=中国の課題とチャンスを考えます、お楽しみに  
<Rei>

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