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■宴会芸のナゾ 【2003年11月16日】
中国報道のうら / きっかけ / 中華の常套手段
■中国報道のうら
先ごろ、日本人留学生が、中国人を貶める宴会芸をやったとのことで彼らの怒りを買い、反日デモにまで発展するという事態になりました。
国内報道をみるかぎり、たいていの日本人は、お酒の席とはいえその国への配慮が足りなかったようだと見て静観しているのではないでしょうか。
該当の学生は退学処分になり、日本へすでに帰国していて、キツイ社会勉強をしたというわけです。
反日デモも、中国政府の意向で沈静化の方向には向かっているようですから、これ以上何も起こらなければ、1件落着というところです。
で、これは一体なんなのか、という疑問が残ります。
中国の人々にいわゆる洒落や諧謔が通じにくいのは今に始まったことではないようです。
確かアメリカかどこかで、中国を揶揄したフレーズをプリントしたTシャツを着て歩いていた人物が、中国を中傷したとして激しく非難され、訴訟沙汰になったことがあったと思います。(詳細は忘れました)
そのときは、ちょっと神経質になり過ぎだとして、いちいち真に受けてないで、もっと大らかな気持ちを持とう、自分たちは狭量すぎる、といった掲示板への書き込みが出ていたという報道がありました。
こうしてみると、中国人のこの反応は、何も日本人に対してだけではないようです。
それはあるにしても、
今回のこの事件に対する受け取り方は、日本と中国ではだいぶ違っているのではないかと思われます。
まず、元々、中国には報道の自由がありませんから、中国の報道はすべて官報=政府の検閲などをうけてOKが出た記事・報道しか出てこないということです。自由なマスコミはありません。
そしてまた、中国は物事を非常に戦略的にとらえる人々です。
以前、当方のホームページで
東京外国語大学名誉教授/岡田英弘氏の言をご紹介したことがありますが、
→ ひとくち漢文「指桑罵槐(しそうばかい)」
中国人は当事者を直接批判することはほとんどなく、「桑を指さして槐を罵る=指桑罵槐/シソーバカイ」というやり方をするといいます。
ある相手を攻撃しているように見せているけれど、実は別のところにいる人を批判している、というやり方をするのが多いのだそうです。
中国が激しく批判などしてくる問題があったなら、マに受けて腹を立てるのではなく、彼らが真に攻撃したいのはどこなのか、誰なのかという視点で考えてみるのがよいらしいですから。
この点から憶測してみるしか、真相にせまることは難しいように思われます。
■きっかけ
この宴会芸をやった日本人学生は、単なるきっかけに過ぎず、1つのコマとして使われてしまったように思われます。
というのも、この宴会芸をする前にリハーサルをしていたのだそうで、その段階でその芸を中国の大学側も中国の学生側も中止させなかったわけです。当の日本人学生も、宴会がスムーズに始まって、なぜいきなり彼らが怒り出したのか分からなかった、と言っているようですね。
「ある相手を攻撃しているように見せながら、実は別のところにいる人を批判する」手法を使っているとするなら、
この日本人学生をスケープゴートに使った誰かがいて、おそらく中国政府全体か、または特定の人物か、または特定の政策などどを批判しているとみるのが無難なところでしょうか。
その裏には、急激な社会の発展に取り残された地方都市や人々の不満がくすぶり、そのはけ口を探していることも事実だと思われます。
繁栄する日本との合弁企業があり、多くの日本製品が生産されています。そういった企業に就職できた人々と、中国の国営企業からリストラされて収入のない大量の人々の生活格差は、とても大きいといいます。
ですから、日本人や日本企業、日本人留学生などをみる目は、そういった人々からみれば複雑なんだろうと思います。
ただ、人々がそうした不満をかかえていたとしても、誰かが火をつけて煽らない限り、自然発生的に中国の人々を動員する反日デモや、日本商店の打ちこわし、日本人女子留学生への投石までの行動には進まないような気もします。
■中華の常套手段
こうした観点から中国政府の報道や対応を見ていると、反日デモは報道するけれども、関係のない日本商店を破壊したことや、関係のない女子留学生への暴力などを報道していないようです。
また、中国政府は、関係者の処分措置、帰国などは報道しているので、ここを見る限り、中国政府は両面政策を取っているのだなあと分かります。
今回の首謀者たち(=反日デモを仕掛けて反政府運動を煽動している)や民衆の鬱積した不満に対しては、処分を報道して、報道を通じて発表してなだめる。
その姿勢と行動を報道して、日本にも一定の理解を求めて心理的ペナルテイをつける。これをやっています。
中国人の行った、無関係な日本商店や留学生へ行った暴力沙汰は報道しないということは、
つまり、各地への伝播を恐れ、また日本人を、民衆のガス抜きの道具に使っているのだと思います。
そして、こうした6カ国協議という、北朝鮮問題が起きているときに、この宴会芸事件を中国政府が報道したということの方に、中国政府の意図を感じます。
彼らは、緘口令を敷こうと思ったら、そうする=そうできる政治体制ですので、そうしないで、一部の反日デモと原因になった宴会芸を公表しているのには、何らかの意味があると見ていいのではないでしょうか。
中国の言動はどんなものであれ、すべて、国内問題を指している、とも言われます。中国政府内の誰かと誰か、または政府の誰かと軍部の誰かとの権力争いの可能性もあります。
何らかの圧力を日本にかけ、6カ国協議をはじめとする外交の場での有利な立場を一層強めようとしているのだとみるのは、分析にもなっていないごく初歩の見方なんだろうと思います。
特に、中華思想のなかに、道徳に訴えて周辺諸国を恭順させるという手法があり、連綿と続いていますから。
ことの真相が分かるには、まだまだ時間がかかりそうです。 <Rei>
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