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■お金と豊かさと幸せの関係 【2002年10月20日】
インフレvsデフレ / 「貨幣経済」は発明品 /
お金をめぐる幸不幸
■インフレ vs デフレ
このデフレ気味の経済状況は、当分の間続くと予測されているようです。デフレともう少し賢くつきあうにはどうすればいいでしょう。
日本人は、戦後50年余のほとんどをインフレ経済で過ごしてきたために、デフレ経済というものを久しぶりに味わっているといわれます。60才以下の人たちにとっては、生まれて初めての経験です。
インフレ下の経済では、毎年物価は上がり、給料は上がり、資産価値も上がり、株価も上がり、企業も設備投資を活発に行い、経済全体が少々バブルぎみに推移していきます。こうした時期には、借金した金額が、年々価値を下げていくために、借金はあまり怖くないものでした。社会にも活気があり、希望があり、夢を語り、人々も人生を託して仕事に打ちこんでいけるところがあります。
戦後の復興もこうしたインフレ基調でしたから、不動産を借金して手に入れても、返済する金額の価値は年々目減りしていくために、目端の利く人は右倣えでだいたいそうしました。土地成り金というものも、このインフレ経済基調ならではのものです。買った金額よりかなり値上がりした金額で売れたからです。住宅も、借金して購入して、あとは定年まで働きながら返済していけたわけです。国の住宅政策もこうしたインフレをベースに策定していましたし、住宅会社もそうしたセールストークでビジネスをしてきました。
ところが一転して、デフレ下の経済では、年々物価が下がり、給料も下がり、資産価値も下がり、株価も下がり、..というように逆になります。すると、とたんに人々は将来の不安にかられ、まず第一に、モノを買わないようになっていきます。貯金がいくらあっても、将来が不透明になるために、怖くてお金を使えなくなってしまうわけです。また、借金は、年々そのマイナス価値が増えてしまいますから、30年ローンでの住宅購入などは、かなりの負担となっていきます。そのため、デフレ期は住宅は買うより借りるのがよい、などといわれるわけです。
甘い経営をしてきた企業はかなり倒産しますし、結果として失業者が出るため、人々も社会にも活気が失われ、どことなくうらぶれた雰囲気が漂うといわれる、このデフレ期ですが、悪いことだけではないようなのです。
たとえば、年々物価が下がるため、日用品などがどんどん安くなり、暮らしやすくなります。また、人々の意識が、外向きだったインフレ期とは逆に、内向きとなりますから、享楽的な支出を控えるようになり、家庭の価値を見直すようになり、一家団欒が増え、家族の絆を取り戻していったりします。また、自分を見つめたり、自己投資をしたり、といった時間を取るようになるといわれます。精神的なものに眼がいくわけです。
企業でも、甘甘の経営では倒産するために、かなりのリストラクチャーをしたり、不採算部門の縮小をしたり、次の好調期に向けての準備に入ったり、スタッフの教育に力を入れたりしていきます。家族向けに関連した部門や産業などは、そのニーズをつかめば好調期となります。こうして、筋肉質で無駄をそぎ落とした企業が、時代のニーズを捉えた商品やサービスを世に出し、次の時代に生き残っていくといわれています。
このようにざっとみただけでも、私たちの活動の多くは、好き嫌いにかかわらず「経済価値」というものと密接に結びついているということに、気づかされるのではないでしょうか。
■「貨幣経済」は発明品
この貨幣経済ですが、いつ人類史上に登場したかについては、4,200年以上前、ギリシャ近くのクレタ島を中心に起こったクレタ文明が発祥といわれます。それまでも、やはり、市場はありましたが、人々は物物交換をしていただけだったようです。このとき、クレタを統治していたヘルメス王が、「もの」と交換できる「価値」を設定したといわれます。この王がクレタ、ギリシャ一円、また地中海の南に広がるアフリカ大陸沿岸地域にまで信頼されていたために、人々は、その最初の交換価値を受け入れたのではないでしょうか。
今考えても、最初に物物交換する「もの」の客観的な「価値」を決めるということは、生半可なことではできないことだと思われるからです。というのも、オリーブの実と、地中海の魚と、その価値をどう位置付けるかですから、よほど信頼されている人の判断でないと人々は納得しないと思います。また、人々のその仕事の難しさや、危険度、手間の多さ、その「もの」の有用性、扱いやすさなどなど、人々の生活ぶりなどを詳しく知ったうえで判断しないとケンカになりそうですから。
その後、このクレタのヘルメス王のもと、周辺の国や地域との大いなる交易が起こり、文明は海洋性の貿易・交流文明として栄えていったといわれます。3国間貿易の原型にあたるものもすでに行われていたようなのです。人々の暮らしも、自作の作物をクレタに持っていけば、さまざまなものに交換できるために、物物交換時代とは飛躍的なスピードで豊かなうるおいのあるものへと変わっていったのだろうと想像できます。
人類は、偶然や、単なる自然発生的にこの貨幣経済という基本的なシステムを手にしたわけではない、ということを、今どれだけの人が考えるでしょうか。ヘルメス王は、人間の日々の活動やその成果を、客観的に別の尺度へと変換することができることを発見し、またそのシステムを創ったわけです。これは、人類文明を考える上でも、一大発明だったのだと思われるのです。
その後の世界の展開を見ても、この貨幣経済システムは文明を超えて世界的な広がりを見せ、そのシステムも複雑になり、現在では政治家や経済学者、エコノミストまでが総出でデフレ対策に追われるような、専門スキルの必要なものになっています。今後の経済学者の課題として、地球規模にまで広がった経済システムの運用面での安定策があげられます。まだ、確立していないからです。しかし、この貨幣経済の興隆を抜きにしては、人類の繁栄・発展はなかったと思われます。
余談ですが、マルクス系の経済がなぜ失敗だったといわれるかですが、経済の基礎を人間の労働量に置いたことだといわれています。彼の生きた時代では、農業ですから、農民1人あたりの1日の生産量はほぼ決まっています。つまり、パイは頭数で決まってしまっています。そう考えれば、常にパイは取り合いになってしまうわけです。繁栄・発展という考え方が入っていないわけです。共産国はどこも経済的には貧困圏だというのにもこんな根本的な理由があるというわけです。
しかし、人間には創造性があり、無から有を生み出すことができます。アントレプレナーなども、その典型なわけです。いままでなかった新しい価値ある商品やサービスを生み出して、世の中に提供していくわけですが、繁栄・発展するには、この人間の創造性を無視しては成り立たないもののようです。
■お金をめぐる幸不幸
この便利で本来は価値中立なはずの「お金」ですが、あまりにも人間の活動に密着しているためもあって、さまざまに手垢をつけてしまっているのが私たちではないでしょうか。お金をめぐり、数多くの幸不幸が生まれています。そして、お金は恐ろしい、などとつぶやいてみたりします。あたかも、お金自体にそういったマイナスがあるかのようにです。しかし、よくよく見てみれば、「お金」という鏡にその人の精神状態が映っているだけなのではないでしょうか。
みなさんは、日頃「お金」をどんなものだと考えていらっしゃるでしょうか。
みなさんの「豊かさ」と、「幸せ」と、「お金」の関係はどんなものでしょうか。
というのも、この頃のデフレで「お金」に対するニーズがあると見越してでしょうが、「お金」に関する新刊本がかなり出版されています。単なるノウハウ本から、金持ちになる性格分析から、海外ものまでいろいろありますが、ほとんどを、ピンとこないなあと思って眺めてきました。
というのも、やはり、「お金持ち=幸福」を当然のこととして、これを前提に、お金持ちになる方法論の問題だという視点で書いている作者がほとんどだからです。しかし、「幸福」は、心の状態をさす言葉ですから、お金の有無には左右されるものではないわけです。むしろ、お金は「豊かさ」というものを表現するひとつの形式なのだと考えた方が分かりやすいのではないでしょうか。人間は、豊かで幸福に生きることが理想のひとつであるといえるのではないでしょうか。
こんな話しを知人としていたら、先日、2冊の本(「幸せな小金持ちへの8つのステップ」「お金のIQお金のEQ」-本田健著・ゴマブックス)を紹介されました。この著者は、「豊かさの本質」というものをきっと深く掴んでいらっしゃるのだなあ、と感じます。いよいよ、豊かで幸福な日本人がぞくぞくと登場してくるのだなあ、と思えてうれしくなりました。そして、豊かで幸せな日本人のひとりにぜひ私もなっていたいと、つくづく思いました。
「お金」と「幸福」と「自分」の関係をもう1度見直してみると、このデフレ期も幸せに乗り切っていけるのではないでしょうか。
そして、世界のこれから豊かになろうと努力している国の人々に、こうしたら豊かで幸せな人生を生きられますよ、国や社会を豊かにできますよ、と教えてあげられるようになれたらな、と思います。マレーシアのマハティール首相が、ルックイースト=日本に倣えといったわけですが、そういった世界の問いに応えられるようになるのが、日本人1人1人の急務だと思いませんか。
この辺りが分からないでいるから、エコノミックアニマルなどといわれたりもするのだと思えるからです。
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「金持ちはなるべくしてなっている」
本田健著:ゴマブックス

「〜8つのステップ」を読んだら次もきっと読みたくなりますよ:
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