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■3度おいしいバナナ【2002年8月31日】
バナナを食べる時、艶やかな皮を眺めては、何かに使えないものかと、誰しも一度はチラッと考えたことがあるかもしれません。
特に、熱帯、亜熱帯地域を訪れると、改めて、バナナなどの熱帯性植物は捨てる部分が多いことに気づかされます。というか、人間は果実や葉のごく一部を利用しているにすぎず、あとは単なる生ゴミとして捨て置かれていたりします。
熱帯の野生動物が、樹上で果実を一口食べては放り投げ、果実を次々と無造作に食べ散らかすシーンがありますが、人間も50歩100歩だなと感じさせられるようで、熱帯の自然の豊かさをこんなところからも実感したりします。炎天下のもとで進む分解発酵や腐敗臭と、周囲に繁茂する生命力旺盛な熱帯植物と、人間の営みとの強烈な対比に、ちょっとクラクラすることがあります。
この熱帯地域に大量に出る生ゴミから肥料を作るプロジェクトもあり、都市のゴミ処理が課題となっている発展途上国の首都では、街がきれいになり、生ゴミも肥料として換金商品になるということで、一石二鳥の有効な方法として受け入れられています。
そして今度は、バナナの茎の繊維から紙や布地をつくるという計画が軌道に乗りそうだといいます。南アのヨハネスブルクで開催中の環境開発サミットに日本から参加しているNPO、「バナナ・グリーンゴールド計画(主催者・森島紘史名古屋市立大大学院教授)」。すでに、中南米の最貧国とされる国々で成果をあげており、今度はアフリカ諸国への導入がウガンダ、タンザニアから始まる模様です。
公式ホームページを覗いてみると、とても美しいページのつくりになっています。
教授によれば、世界のバナナの生産量は年間約1億トン。そこから逆算すると、年間10億トンのバナナの茎が資源としてあるといいます。このバナナの茎1トンから、20人が1日にA4サイズの紙を24,000枚程度作れるといい、立ち上げ資金は1,000万円程度なのだそうです。
発展途上国を支援する場合のポイントは、いかにローテクで効率的なシステムを組めるかだと思われますが、このバナナの茎加工は、日本古来の手漉き和紙や芭蕉布の製造工程を応用しており、発展途上国の人々が普段の材料を使って創意工夫をこらせるようになっています。
少し前になりますが、やはりアフリカ向けに、ゼンマイで動くラジオを開発したイギリスの会社のことが出ていました。電池も電気も何もないところでも必ず動く動力源として、ゼンマイに目を付けたというわけです。ゼンマイが緩むと聞けなくなりますが、そのときは再びゼンマイを巻けばよいわけです。特にスキルがなくとも、誰でも1回教えればゼンマイは巻けますから。
このラジオが発表されたとき、アフリカ諸国の反応は素早かったです。どの国だったかは忘れましたが、このようなラジオを我々は待っていた、という主旨の大統領談話が出ていたように記憶しています。最貧国は、何もかもがないないづくしです。産業を興したいが、働き手は文字も読めないとなると伝統的な単純生産労働がやっとです。教育が急務ですが、これはかなりの年月の投資を必要とすます。こうした国では、教育の最優先課題は、その国の統一言語を使ってマスコミュニケーションを図り、国民としての自覚を持たせることだったりします。どんな奥地の不便な場所に住んでいる人々にも、国の情報を素早く届けられるゼンマイラジオは、政府・国民ともどもまさに欲しかったものに違いないのでしょう。
日本発の、このバナナ・ペーパーづくりも、自国の教育用ノートとして紙がふんだんに使えるようになるため、ノート自体を輸入しなくともよくなり、その資金を別の用途に使えるようになります。原料費は特にかからず、男性女性ともに雇用も創出できます。バナナ布ができるようになれば、風合いを生かした輸出商品を作ることも可能です。こういった、現地の人々に顔の見える支援プロジェクトが広がるのは、本当にうれしい限りです。
また、このバナナ・ペーパーは、懸念される木材パルプ資源の代替バリエーションとしても考えられますが、現在のところ世界で年間2億7,700万トン製造されるという木材パルプ原料の洋紙類に対して、何%まで占めていくものになるかはわかりません。約3,000万トンの紙を生産する日本でも、その独自のテイストを生かした商品で生き残っている和紙ですが、全体の0.2%、約6トンにしかすぎません。
このバナナ・ペーパーのアイデアですが、中南米の大使館から舞いこんだ1通のeメールがきっかけといいます。多くの人のニーズに応えるという想いからスタートしているこのプロジェクトには、外務省、民間企業、和紙や芭蕉布づくりのベテラン、芸術家、現地の政治家、教育界、一般の人々などが協力しており、今後も多くの人々を巻きこみながら熱帯地域諸国に広がっていくだろうと思います。発展するものには、多くの人々に夢と希望とインスピレーションを与え続ける力があるという、好例でもあります。
<Rei>
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◎バナナ・ペーパーを使った絵本「ミラクルバナナ」が学研から出ています。 中南米の詩人、デザイナーがまとめたものを日本語にしたものだそうです。

◎「ミラクルバナナ紙つくりセット」も学研から出ています。 完成したら、1回は匂いを嗅いでしまいそう。淡いバナナの匂いがした方がいいプロモーションになるかも。
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